NHK大河ドラマ「麒麟がくる」などに出演した俳優池田優斗(16)が、動画配信サービス「ディズニープラス」で独占配信中の「あの夏のルカ」で、主人公ルカの親友・アルベルトの声を担当している。

ディズニー&ピクサー最新作で、海の世界に暮らす「シー・モンスター」の少年たちが人間世界を冒険する物語。SNS上で「期待値をはるかにこえた傑作」などと大反響となっている。

決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)
決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)

池田は学校帰りに制服のまま収録に参加することが多く、ワイシャツの音が入らないように、ランニング姿でアフレコに挑んだ。「アルベルトもそういう格好をしているから近い部分があるかなって(笑い)。慣れてくると自分から脱いでやっていました」と役になりきった。

変声期を終えてからは初の声優挑戦。「声の出し方とか難しかった」と振り返ったが「そこまで役作りはせず、感じたままやらせていただいた感じ」と等身大で臨んだ。

自分なりの工夫も明かした。「アルベルトは表現豊かで、喜怒哀楽が激しいタイプなので、演じながら、ジェスチャーをやってみたりとか。映像でやるよりは口を大きく開けて1つ1つの言葉を届けるみたいな感じを意識してやりましたね。セリフを強く言う時は体を前に倒したり」。16歳とは思えないほどしっかりとした口調に驚かされる。

「トイ・ストーリー」シリーズの大ファン。個性豊かなキャラクターや表情のリアルさが特徴的なピクサー作品に参加することは夢だった。出演が決まった際の思いを聞くと「アプリゲームの『ディズニーツムツム』でアルベルトがでたらどんな感じなのかな、みたいに想像したりしました」とあどけない16歳の少年の顔ものぞかせた。「温かい部分も、感動するシーンもあって、小さい子から大人まで幅広い方々が楽しめる作品になっています」とアピールした。

決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)
決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)

5歳で芸能活動を開始して芸歴12年目。デビュー作はWOWOWドラマ「深追い」。あまり記憶はないというが「今見直すと、ケーキを食べるシーンがあって、おいしいなって顔はしているのにイチゴをよけて食べているんです。イチゴは今も得意ではなくて、よく自分の記憶をたどっていくと、いちごをよけて食べたなっていうのがありました」と笑った。

ドラマにミュージカル、映画と経験豊富だ。当初は習い事感覚だったというが「小学校の高学年になってくると、撮影でいろいろ考えるようになって、今までなかった場面で緊張したり不安になったりすることがありました」と壁にぶつかった。だが、今年1月に出演したフジテレビ系ドラマ「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」が転機に。「自分からどんどん(演技)案を監督さんに出していけるようになった。人間が変わった」と進化を実感する。

自分の武器を問うと「まじめさ」と分析する。「まじめすぎるのも良くないとは思う。でもまじめだからこそ、ストイックに妥協せずに挑戦できるのではないかな」と冷静だ。

どんな役者になりたいか聞くと「見ている人が(役を)自分と重ね合わせてしまうような、影響を与えられる役者さんになりたい」と目を輝かせた。一皮むけた実力派の今後が楽しみだ。【佐藤成】

★池田優斗(いけだ・ゆうと)2005年(平17)6月25日、埼玉県生まれ。11年3月にWOWOWドラマ「深追い」でデビュー。15~16年ミュージカル「エリザベート」、18年NHK大河ドラマ「西郷どん」、21年NHK「ここから今は倫理です。」などに出演。特技はバスケットボール。167センチ。

決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)
決めポーズのリクエストにも瞬時に反応してくれた池田優斗(撮影・中島郁夫)