米テレビ界で最も栄誉ある賞とされる第72回エミー賞の授賞式が、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で初のバーチャルでの開催となることが明らかになりました。

エミー賞は予定通り9月20日に授賞式が行われることはすでに発表されていましたが、リモートになるのか、一部バーチャルになるのかなど授賞式の概要は明かされていませんでしたが、先日発表されたノミネート者たちに「今年は(ロサンゼルスにある)マイクロソフト・シアターにお越しいただく必要はありません。例年通り授賞式は開催しますが、今年は私たちがあなた方の元を訪れます」とバーチャル授賞式のお知らせが届いたとバラエティ誌が報じています。

授賞式と言えば華やかなドレスも見どころの一つですが、自宅やスタジオなど各自が指定した場所からの参加となる今年は、例年とは異なったコロナ禍ならではのユニークな授賞式となりそうです。

ブラッド・ピット(19年9月12日撮影)
ブラッド・ピット(19年9月12日撮影)

●ドレスコードは?

「フォーマルな服装での出演も歓迎しますが、パジャマでの参加を希望される方がいるかもしれません」と手紙にはドレスコードについても触れられており、リモートならではの服装で出演するセレブも出てきそうです。今年はイギリス出身の俳優も多くノミネートされていますが、時差の関係でイギリスは午前3時の出演となるため、おしゃれなパジャマ姿でベッドの上から出演なんてシチュエーションも期待できるかもしれません。

●ロケーションや背景

「どのような状況からの出演が快適かをお知らせください」と手紙には書かれていたと伝えられており、放映するABCテレビは最新のテクノロジーとカメラワークを駆使して最高のシチュエーションをクリエートすることを約束しています。リモート出演ならではのユニークな登場も見どころの1つになることは間違いないでしょう。自宅から出演する場合、当然注目されるのが衣装と共に画面に映り込む背景。どんな家具が置いてあるのかなど、視聴者は隅々までチェックしてSNSで盛り上がることが予想されます。また、ワインやシャンパンなど片手にほろ酔い気分で出演する人がいたり、時にはペットも一緒に出演する可能性もあり、サプライズが期待できそうです。

●司会はジミー・キンメル

無観客の会場からオンラインで各出演者をつないで司会を務めることになるのは、ABCテレビの人気トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」で司会を務めるコメディアンのジミー・キンメル。2017年から2年連続でアカデミー賞の司会も務めるなど安定した司会で人気のキンメルがエミー賞の司会を務めるのは、12年の第64回、16年の第68回に続いて3度目です。無観客の会場でどのように盛り上げながら授賞式を進行するのか、またリモートならではの不測の事態も予想されるだけにキンメルの軽快なトークと展開にも期待したいところです。

●スピーチはコロナ対策と選挙の投票呼びかけの場に?!

コロナ禍で行われる初の授賞式となるだけに、受賞者のスピーチも注目されます。マスク着用義務化が政治問題として注目を浴びる中、マスク着用やソーシャルディスタンスを保つことなど感染予防を視聴者に呼びかけるセレブは多そうです。また11月の米大統領選を前に、トランプ政権への批判や投票を呼びかけるメッセージを発するセレブも出てきそうです。

●黒人のノミネートが過去最多

アカデミー賞では近年、俳優部門の候補者が白人ばかりという批判を受けていますが、人種差別運動ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)の影響もあってか、今年のエミー賞は過去最多となる黒人俳優がノミネーションを果たしています。演技部門で候補入りした黒人は全102人中35人と3割を超えており、黒人俳優の受賞にも注目が集まることとなりそうです。放送局別ではNetflixが最多160ノミネートで2位のHBOの107を大きく引き離して圧勝。また、作品別ではHBOの「ウォッチメン」が作品賞を含む最多26部門にノミネートされています。

●ブラッド・ピットとジェニファー・アニストンがそろって候補に

会場でのツーショットは残念ながら実現しませんが、度々復縁のうわさも浮上している元夫婦ブラッド・ピットとジェニファー・アニストンが、今年はそろって候補入りを果たしています。アニストンは「ザ・モーニング・ショー」でドラマ部門の主演女優賞にノミネートされていますが、ピットは、トランプ政権の新型コロナウイルス対策チームの中心的人物として知られる国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長に扮した「サタデー・ナイト・ライブ」で、コメディ部門のゲスト男優賞で候補入りしており、2人そろっての受賞も期待できそうです。