米大統領選でトランプ前大統領と争って勝利した民主党のバイデン氏が大統領に就任して3カ月がたちましたが、人々の関心はすでに4年後の大統領選に向けられています。

このほどあるリサーチ会社が行った世論調査で、46%のアメリカ人が元プロレスラーのザ・ロックこと俳優のドウェイン・ジョンソンが大統領になることを支持すると回答したことが明らかになりました。本人もまんざらでもない様子で、これを報じたニューズウィークの記事をツイッターに投稿し、「身長195cm、ハゲでタトゥーを入れていて、半分黒人で半分サモア系、テキーラを飲むのが好きで、ピックアップトラックを運転していて、ウェストポーチを愛用する男が(大統領の)仲間入りするなんて、建国の父たちは想像していなかったでしょう。でも、もしもそんなことが起きたら、国民に仕えることを光栄に思います」とコメント。大統領選出馬に意欲を見せています。

ドウェイン・ジョンソン(2014年10月19日撮影)
ドウェイン・ジョンソン(2014年10月19日撮影)

プロレスラーから俳優に転向して「ワイルド・スピード」シリーズや「ジュマンジ」シリーズなどのヒット作に出演して人気を博し、昨年は経済誌フォーブスが毎年発表する長者番付で2年連続「最も稼いだ男性俳優」の座に輝くなど名実ともにトップスターとなったジョンソンは、以前から大統領選への出馬がささやかれていました。最初にその話がメディアに出てきたのは2014年だったと記憶していますが、16年にはGQ誌のインタビューで出馬の可能性を示唆。その後も何度か「出馬を考えている」という趣旨の発言をしており、最近も出演するNBCテレビで放送中の自身の若き日を描くコメディードラマ「ヤング・ロック」で23年の大統領選に出馬する設定になっていることについてUSAトゥデイ紙のインタビューで、「もし人々が望んでいるのであれば、将来的に大統領選に出ることを考えるでしょう」とコメント。「気まぐれではなく、(出馬は)人々次第」とも語っていたので、今回の調査結果を受けてかなり本気モードになったことは間違いないでしょう。

ところで、大統領を目指すスターといえば他にも昨年の大統領選に突如出馬して話題になったカニエ・ウェストの名前が真っ先にあがりますが、ウィル・スミスも大統領選への出馬をほのめかしているスターの1人です。5年前にもテレビのインタビューで「イスラム教徒に関してこれ以上クレイジーなことを言い続けるなら、俺が大統領になるしかない」と発言。最近もポッドキャストの番組の中で政治家転身と大統領選出馬を示唆する発言をしており、今回発表された世論調査でも21%の人が支持すると回答して大統領候補の6位に名を連ねています。また、ヘンリー王子とメーガン妃へのインタビューでも話題になった大物司会者オプラ・ウィンフリーもこれまで幾度となく大統領選への出馬が取りざたされており、女性初の大統領候補と言われてきました。それ以外にもジョージ・クルーニーの出馬がうわさされたこともありましたし、最近では王室を離脱して生まれ故郷に戻ってきたメーガン妃が大統領の座を狙っているとのうわさも出ています。

ウィル・スミス(2019年5月16日撮影)
ウィル・スミス(2019年5月16日撮影)

ハリウッドスターの政治家転身というと、03年から11年までカリフォルニア州知事を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーが記憶に新しいところですが、かつてはクリント・イーストウッドが1986年にカリフォルニア州北部カーメル市の市長に当選して2年間の任期を務めたこともありますし、B級俳優と言われたロナルド・レーガン氏は映画俳優からカリフォルニア州知事になり、そして81年に大統領にまでなった人物として知られています。また、トランプ前大統領も不動産王からテレビの人気司会者となり、そこから大統領になったセレブでもあります。

最近はジョンソンやスミス以外にも、オスカー俳優マシュー・マコノヒーが来年行われる地元テキサス州の知事選への出馬に意欲を見せており、近い将来ハリウッドスターたちが次々と政界に進出する時代がやってくるかもしれません。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)