地球温暖化の進行がもたらす気候変動が世界的に問題となる中、その元凶とされる二酸化炭素(CO2)を大量に排出することで知られるプライベートジェット機の使用を巡り、一部ハリウッドセレブが「偽善者」と批判を浴びています。

ハリウッドを擁する米カリフォルニア州では近年大規模な山火事が多発しているほか、欧州では記録的な熱波や干ばつが起きており、温室効果ガス排出の削減が叫ばれています。

そんな中、世界最年少ビリオネアとして知られる実業家でタレントのカイリー・ジェンナーが、車で1時間もかからない距離をプライベートジェット機で移動して批判を浴びたことをきっかけに、このほどセレブたちが所有するプライベートジェット機の使用状況を調査した結果が発表されて話題になっています。

イギリスのマーケティング会社Yardが先月末に発表したランキングでワースト1位になったのは、意外にも短距離での利用が多いと批判されたジェンナーではなく、テイラー・スウィフトでした。今年1月からの7カ月あまりで、環境破壊を招くプライベートジェット機の利用が最も多かったセレブトップ10を紹介します。

■1位 テイラー・スウィフト

テイラー・スウィフト(10年撮影)
テイラー・スウィフト(10年撮影)

今年1月1日以降、スウィフトが所有するプライベートジェット機のフライト回数は170回を超え、上空で過ごした時間は2万2923分、約16日間だったといいます。平均フライト時間は80分で、最も短いフライトは36分だったとのこと。CO2排出の総量は8293トンで、これは1人あたりの平均的な年間排出量のなんと1184・8倍にもなりますが、「機体は頻繁に貸し出されており、全てのフライトに本人が搭乗していたわけではない」と代理人は反論しています。フライト記録からは搭乗者を特定することはできませんが、スウィフトはこれまで環境問題について度々言及してきただけに、そもそも環境に悪いプライベートジェット機を所有していることが問題だと批判されています。

■2位 フロイド・メイウェザー

ボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーは、177回のフライトで7076・8トンのCO2を排出しています。名声と富を得たメイウェザーは、5000万ドルでプライベートジェット機を購入して日本を含む世界各国に飛んでいることが伝えられていますが、最短飛行時間はたった10分だったといいます。

■3位 ジェイ・Z

ビヨンセの夫でラップ歌手のジェイ・Zのフライト回数は136回で、排出CO2はおよそ6981トン。平均飛行時間は67分で、最短はノースカロライナからオハイオまでの29分の移動だったとのこと。ちなみに、ジェイ・Zはプライベートジェットの手配・予約ができる「空のウーバー」とも言われるシステムに投資もしています。代理人は、プライベートジェット機はクリエイティブ・ディレクターを務めるスポーツ用品ブランド、プーマが所有するカンパニージェットで、ジェイ・Zの所有ではないと説明しています。

■4位 アレックス・ロドリゲス

イチローと握手するヤンキースのA・ロドリゲス(15年6月撮影)
イチローと握手するヤンキースのA・ロドリゲス(15年6月撮影)

元ニューヨーク・ヤンキースの主砲アレックス・ロドリゲスは、106回の使用で5342・7トンのCO2を排出。平均飛行時間は80分で、最短は34分でした。

■5位 ブレイク・シェルトン

カントリー歌手のブレイク・シェルトンは、111回のフライトで上空で過ごした時間は1万2424分、排出したCO2は4495トンでした。

■6位 スティーブン・スピルバーグ監督

「温暖化は科学を基にした真実で、政治的なものではない」とかつてのインタビューで述べていたスティーブン・スピルバーグ監督は、75回の利用で6位にランキング。最短飛行時間は18分で、排出したCO2は4465トンでした。

■7位 キム・カーダシアン

ジェンナーの異父姉でお騒がせセレブ一家として知られるカーダシアン家の次女キム・カーダシアンは、57回のフライトで4268・5トンのCO2を排出。平均飛行時間は85・49分と1時間を超えていますが、最短は23分だったとのこと。ちなみにカーダシアンは今年2月、「キム・エアー」と名付けられた18人乗りのカスタムメイドのジェット機を1億5000万ドルほどで購入したと報じられています。

■8位 マーク・ウォルバーグ

「テッド」シリーズやアカデミー賞作品賞にノミネートされた「ザ・ファイター」(2010年)などで知られるマーク・ウォルバーグは、101回のフライトで3722トンのCO2を排出。平均的な飛行時間は約2時間だといいますが、最短利用は29分でした。

■9位 オプラ・ウィンフリー

環境保護に強い関心を示すオプラ・ウィンフリーも68回のフライトで3493・17トンのCO2を排出して9位にランキングしています。最短だった16分のフライトだけで1トンのCO2を排出したと批判されています。

■10位 トラビス・スコット

ジェンナーのパートナーで2人の子供の父親でもあるトラビス・スコットは、54回のフライトで3033トンのCO2を排出して10位に名を連ねています。ちなみに短距離移動が多いと批判されたジェンナー自身は19位にランキングしていますが、「私のに乗る? それともあなたの?」とコメントを添えてジェット機の前でスコットとハグする写真をSNSに投稿していたこともあり、2人揃って環境問題には無頓着なことが伺えます。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)