英王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃夫妻のドキュメンタリー「ハリー&メーガン」がネットフリックスで配信され、ヘンリー王子が家族会議の場で兄ウィリアム皇太子に怒鳴られたと暴露したり、自分たちの人気をねたんだ家族がメディアに情報をリークしたり、ストーリーを仕込んで貶めようとしたと主張するなど、王室批判を繰り広げたことで話題になっています。

メーガン妃も、王室の伝統的なお辞儀であるカーテシーを巡ってエリザベス女王を侮辱したのではないかと指摘されたり、皇太子とキャサリン皇太子妃がメーガン妃のハグを嫌がったと暗に示したことなどもネットやメディアを賑わせています。

「プライバシーを守るために離脱したのでは?」「傲慢」「自分たちだけの一方的な主張」など批判も多く、「ヘンリー王子とメーガン妃の王室へのリベンジ」との声もあります。

番組の中でメディアの過熱報道を批判した夫妻ですが、ハリウッドのショービズ界でもまれたメーガン妃は、自己プロデュースにおけるメディア戦略に長け、メディアの扱いはお手のもの。今回のドキュメンタリーでも予告編の公開を兄ウィリアム皇太子夫妻のアメリカ外遊にぶつけるなど、計算高くしたたかであることは間違いありません。これまでも、自分たちが最大限のスポットライトを浴びるよう、重大発表のタイミングは綿密に練られてきたように見受けられます。非の打ちどころのないタイミングで流されたこれまでのニュースを振り返ってみました。

ヘンリー王子とメーガン妃(19年6月撮影)
ヘンリー王子とメーガン妃(19年6月撮影)

■従妹の結婚式で第1子妊娠を女王に報告

2018年5月に結婚した夫妻が、待望の第1子を授かったというおめでたいニュースを家族や友人が知らされたのは、なんとヘンリー王子の従妹ユージェニー王女の結婚式の場でした。同年10月に行われた王女の結婚式に出席したエリザベス女王をはじめとする家族にその場でおめでたを明かし、それが関係者から漏れ伝わる形でメディアにリークされたと言われています。これにより、当時のマスコミはメーガン妃の妊娠のうわさを大々的に取り上げ、王女の結婚式に関する報道がかすんでしまいました。夫妻はそれから3日後に、初の外遊でオーストラリアを訪問するタイミングで妊娠を正式発表しています。

■アフリカ外遊を追ったドキュメンタリー番組で翌年の離脱につながる道を作っていた疑惑

20年1月に王室の高位王族としての立場を退くことを発表した夫妻ですが、その伏線はすでに前年イギリスのテレビで放送されたアフリカ外遊を追った番組の中にありました。

番組でメーガン妃は、王室に嫁いで注目を集めることは「簡単ではないと覚悟していたが、こんなにもアンフェアだとは思っていなかった」と告白。誰も私に「大丈夫ですか?」と聞いてくれないなどと話し、王室での苦悩を明かすとともに、現在につながる王室批判の布石を打っていたと思われます。また、ヘンリー王子も不仲が伝えられていた兄について、「異なる道を歩んでいる」と述べ、考え方に違いがあることを明かし、確執を否定しませんでした。

■キャサリン皇太子妃の誕生日の前日に離脱を発表

義姉の誕生日の前日となる20年1月8日に公式インスタグラムで皇位王族から退くと宣言したことで、祝福ムードを台無しにしたと批判を浴びています。皇太子妃から注目を奪う形で離脱という大ニュースを発表した夫妻ですが、メーガン妃はその後もウィリアム皇太子夫妻の結婚記念日に、離脱後初めてとなるビデオ出演を果たしてバッシングを受けています。

メーガン妃がパトロンを務める慈善団体Smart Worksのインスタグラムにビデオが投稿されたのは、兄夫妻の結婚9周年記念日だったことから、またしてもお祝いムードをぶち壊した疑惑が浮上。ビデオは1か月も前に撮影済みだったこともあり、「意図的な嫌がらせ」だと王室ファンの怒りを買いました。

■祖父フィリップ殿下の入院中に暴露インタビューが放送

21年3月に米CBSテレビで放送されたオプラ・ウィンフリーとの対談は、王室内で人種差別を受けたことを告白して大きな話題となりました。しかし当時、100歳を目前に控えたフィリップ殿下が体調を崩して入院中で、容体悪化の懸念が広がっている中で、王室に爆弾を落とす暴露をしたことに批判が殺到。この時も予告編が公開されたのは、入院中の殿下が転院したタイミングで、放送中止を求める声も上がっていました。

■ネットフリックス予告編第1弾の公開はウィリアム皇太子夫妻の外遊中

エリザベス女王の死後まだ日が浅い中での番組公開には批判が多く、延期も取りざたされていましたが、ネットフリックスは12月1日に予告編を公開。しかし、奇しくもこの日は、兄が皇太子になって初となる外遊でアメリカを訪問中だったことから物議を醸しました。皇太子が設立した環境賞アースショット賞の授賞式を翌日に控えたタイミングでもあり、皇太子夫妻からスポットライトを奪うことが目的だと指摘する声もありました。実際に授賞式への注目度が薄れてしまったことは否めず、意図的だったかどうかは分かりませんが、皇太子夫妻にとっては最悪のタイミングだったことは間違いありません。

また、これは計算ではなく単なる偶然かもしれませんが、番組の後半が配信されたのも、キャサリン皇太子妃が主催するクリスマスコンサート「クリスマス・キャロル」が開催され、王室メンバーが勢ぞろいする時間前のことでした。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)