第96回アカデミー賞授賞式が10日(日本時間11日)に開催され、原爆の父を描いた「オッペンハイマー」が作品賞や監督賞、主演と助演男優賞など最多7部門に輝き、日本からも「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞、「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞を受賞する快挙となりました。

今年は大きなサプライズ受賞はなかったものの、「哀れなるものたち」で主演女優賞を受賞したエマ・ストーンのドレスの背中のファスナーが壊れるなどのハプニングがありました。

第96回アカデミー賞授賞式で、主演女優賞を受賞したエマ・ストーン(左)はドレスのファスナーが壊れてしまう(AP)
第96回アカデミー賞授賞式で、主演女優賞を受賞したエマ・ストーン(左)はドレスのファスナーが壊れてしまう(AP)

アカデミー賞授賞式といえば、ハプニングやサプライズ演出はつきもの。今年もライアン・ゴズリングがピンクのスーツに身を包み、ピンクのグローブとサングラスでケンになりきって歌曲賞にノミネートされた「バービー」の挿入歌「I’m Just Ken」を熱唱して会場を盛り上げ、プロレスラーで俳優のジョン・シナは受賞者の名前が書かれた紙が入った封筒で股間を隠しただけの全裸でプレゼンテーターを務めるなど視聴者を楽しませてくれました。

第96回アカデミー賞授賞式、司会のジミー・キンメル(左)と衣装デザイン賞のプレゼンターを務めたジョン・シナ(ロイター)
第96回アカデミー賞授賞式、司会のジミー・キンメル(左)と衣装デザイン賞のプレゼンターを務めたジョン・シナ(ロイター)

2年前の授賞式では、主演男優賞を獲得したウィル・スミスが受賞発表前にプレゼンテーターとして登壇したクリス・ロックのジョークに激高してステージに乱入し、平手打ちする事件も起きています。一触即発にはならなかったものの今年も司会を務めたジミー・キンメルが冒頭に「オッペンハイマー」で助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jrの過去の薬物使用をネタにして「早く終わらせて」とジェスチャーする様子がみられ、ストーンもジョークに不快そうな表情を見せたことがネットを賑わせています。

そんなアカデミー賞でこれまで起きた驚きのハプニングを振り返り、紹介します。

シナの全裸芸の前にキンメルが紹介していたのが、50年前に起きた「全裸男の乱入事件」。これは、74年の授賞式で起きたデビッド・ニーヴンがエリザベス・テイラーを紹介している最中に、会場に乱入した全裸の男性が堂々とステージを横切った事件です。

キンメルはこれをネタに、「今日、全裸男がステージを横切ることが想像できますか?クレイジーですよね?」と話し、全裸のシナが舞台袖から顔だけのぞかせ、「私の体はジョークではない」と拒みながらも全裸でステージに登場するという演出につながりました。ちなみに、15年の授賞式では司会のニール・パトリックがブリーフ姿で登場したこともあります。

今年の授賞式では、キンメルのトーク番組に出演して人気のメキシコ系の元警備員でタレントのギレルモ・ロドリゲスが会場のセレブたちにテキーラのミニボトルを配って授賞式中に乾杯をさせるシーンがありましたが、10年前の授賞式ではピザの宅配が届いています。司会を務めたエレン・デジェネレスが、ハリウッドにあるピザ店に宅配を注文し、何も知らない配達員が授賞式会場にエスコートされてステージに登場し、出席者にピザを配るというサプライズ演出がありました。会場では、ブラッド・ピットやメリル・ストリープら大物スターたちがピザを食べるというシュールな映像が大きな話題となりました。

ブラッド・ピット(2022年8月撮影)
ブラッド・ピット(2022年8月撮影)

また、16年には司会を務めたロックが、ガールスカウトの少女たちを招いて寄付金集めのためのクッキー販売を行い、レオナルド・ディカプリオらスターたちが次々とクッキーを購入して盛り上がったこともあります。

ストーンは主演女優賞のスピーチで登壇する際に背中を気にするような仕草を見せ、「ラ・ラ・ランド」で共演したゴズリングのパフォーマンスのせいでドレスが壊れたと思うとジョークを飛ばして笑いを誘っていましたが、13年の授賞式では主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンスがステージに上がる際に階段でドレスの裾を踏み、つまずいて転ぶハプニングが起きています。

ジェニファー・ローレンス(08年9月撮影)
ジェニファー・ローレンス(08年9月撮影)

また、今年は滞りなくアル・パチーノが作品賞を発表して「オッペンハイマー」が受賞しましたが、17年の授賞式ではウォーレン・ベイティが間違った作品名を発表するという前代未聞のハプニングも起きています。本来の受賞作品「ムーンライト」ではなく、「ラ・ラ・ランド」と発表するも、それは主演女優賞の封筒だったことが判明。すぐに関係者によって訂正されましたが、ステージ上は大混乱となりました。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)