落語家春風亭小朝(65)の登場です。いつもは落語会などで全国を飛び回っていましたが、自粛の影響で落語会や寄席も相次いで中止となり、今は普段はできなかったダイエットや趣味に没頭する毎日です。

  ◇  ◇  ◇

とりあえず3カ月間の独演会、講演会、二人会のすべてが中止、または延期となりました。なかでも年2回開催している新橋演舞場の独演会、菊池寛さんの作品を落語に作り直して口演している「菊池寛が落語になる日」、そして、今はまっている篠笛(しのぶえ)でジャズを演奏する「篠笛JAZZライブ」の延期は、楽しみにしていた公演だっただけに緊張の糸が切れてしまった感じです。

さて、暇な時間に何をしようかと考えて、まず始めたのがダイエット。現在は野菜中心の食事を1日2食。もう少ししたら1食にするつもりです。お薦めはご飯の代わりにキャベツの千切りの上からカレーをかけたもの。実際、この食事で見違えるように痩せた方がいるので、まねをさせてもらっています。今のところ順調に体重が減っておりまして、最終的な目標はマイナス25キロです。そして、毎日欠かさずやっているのが篠笛の稽古。ジャズのスタンダードとアドリブの勉強をしています。それから久しぶりに作曲も始めました。こう見えてもシンガー・ソングライターとして2枚ほどシングルを出した経験があるものですから、やり始めたら結構楽しい。

そして、肝心の本業ですが、前座噺の代表作である「子褒め」を作り直したり、来年の大河ドラマ「青天を衝け」の主役である渋沢栄一さんが愛した論語を題材にした落語を書こうと思っています。長期の休みのおかけで、心が更地のようになりました。これまでのことを振り返りながら、今後、自分がやりたいことの再確認と、やるべきことをまとめている最中です。外出の自粛は自分を見つめ直す良い機会かもしれませんね。

それから趣味の話ですが、こんな状況でも競馬は開催しているので、週末はJRAさんに寄付をしたり、御ひいきのSKE48のSHOW ROOMを見て気分転換をしています。話が最後になりましたが、このたび、紫綬褒章をいただきました。はたして受章記念の独演会がいつ頃開催できるのでしょうか。お客様がコロナの不安から解放されて落語を楽しめる日が、一日でも早く戻ってくることを願っております。【林尚之】


◆春風亭小朝(しゅんぷうてい・こあさ)1955年3月6日、東京生まれ。80年真打ち昇進。落語界初の日本武道館の独演会をはじめ、歌舞伎座、南座、日生劇場で独演会を開催。俳優としてドラマ「三匹が斬る」大河ドラマ「篤姫」に出演。現在はNHK「雲霧仁左衛門3」に出演中。BSテレ東「おんがく交差点」MCも務める。放送演芸大賞、浅草芸能大賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

篠笛JAZZライブを行った春風亭小朝(中央)
篠笛JAZZライブを行った春風亭小朝(中央)