先日、9月に大阪・梅田芸術劇場、10・11月に帝国劇場、11月に博多座で上演されるミュージカル「ナイツ・テイル-騎士物語-」の会見が行われた。

堂本光一と井上芳雄が初共演した話題のミュージカルで、18年に初演され、20年にはコンサート形式で上演された、待望の再演だけれど、今回の舞台で注目したいのは、牢番の娘役で出演する上白石萌音だ。18年の初演時は、透明感ある歌声に驚いた記憶があるけれど、これからの若手女優さんという程度の認識だった。しかし、20年に主演したドラマ「恋はつづくよどこまでも」で一気にブレークし、21年1月に主演したドラマ「オー! マイ・ボス! 恋は別冊で」のヒットで、超売れっ子女優となった。放送中の大河ドラマ「青天を衝け」で篤姫を演じ、今年11月スタートの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では深津絵里、川栄李奈とのトリプル主演が決まっている。

3年前に比べて女優としての格がグーンとアップしただけに、会見でも堂本が「3年前の初演時よりも一番跳ねたのが萌音ちゃん。そんな萌音ちゃんが僕らを見捨てないでいてくれた」、井上も「冷や冷やしたよね。変わっていたらどうしようとか」と、上白石をいじりまくった。そんな2人の言葉に上白石も「私がどうなったと思ってるんですか」とツッコミを入れるなど、やりとりからも上白石の愛されキャラぶりがよく分かった。

舞台も19年に井上芳雄が主演した井上ひさし作の音楽劇「組曲虐殺」に出演し、来年2月には橋本環奈とのダブルキャストで主演する帝劇「千と千尋の神隠し」が控えている。今回の舞台でも、成長した上白石の演技、歌も楽しみだけれど、個人的に彼女に挑戦してほしいミュージカルがある。それはオードリー・ヘプバーンの主演映画をミュージカル化した「ローマの休日」。イタリア・ローマを表敬訪問した某国のアン王女を主人公に、1人で宿泊先を抜け出した王女と、街で知り合った新聞記者との1日の恋を描いた作品だ。ミュージカル版ではこれまでに大地真央、土屋太鳳、朝夏まなとが演じているが、コメディーセンスもある上白石にはぴったりだと思う。そして、相手役の記者には「恋はつづくよ」で共演した佐藤健はどうだろうか。佐藤は、12年に石原さとみと共演した「ロミオ&ジュリエット」のロミオ役で鮮烈な舞台デビューを果たしたけれど、それ以降の舞台出演はない。いつの日か、上白石主演「ローマの休日」が実現することを心待ちにしています。【林尚之】