小林製薬が昨年6月に発売したという「物忘れ改善薬」こと「ワスノン」(希望小売価格3700円、税込み3996円)をドラッグストアで見つけたので、衝動的に購入。

最近の物忘れぶりのひどさについ衝動買い。ただ購入後、「いや、むしろ、これを飲んで効かなかったらいよいよまずいな」という、根拠なき仮定を前提とした得体の知れぬ絶望感が脳内を支配した
最近の物忘れぶりのひどさについ衝動買い。ただ購入後、「いや、むしろ、これを飲んで効かなかったらいよいよまずいな」という、根拠なき仮定を前提とした得体の知れぬ絶望感が脳内を支配した

というのも最近だけでも

<1>契約している立体駐車場の作動用キーを引っこ抜くのを忘れたまま、さしっぱなしにした状態で車を出発して出掛けてしまうというミスを2回連続でしてしまい、管理人から激しくあきれられる。

<2>出勤時、自宅を出て徒歩で最寄り駅まで着いたところで忘れものに気付き、自宅まで徒歩で慌てて引き返したにもかかわらず、その忘れものをまたも取り忘れて自宅を出て駅まで歩いてしまうという、「忘れものを取るために家に帰ったのに、それを持つのを忘れたまま家を出てしまった」という致命的ミスをおかしてしまい、再び自宅に引き返す。自宅に着いた瞬間にスマホに電話がかかってきたことが原因ではあるものの、やり場のない絶望感に10時間くらいさいなまれる。

<3>地下鉄日比谷線の荷棚にバッグを置いたまま(本社最寄りの)築地駅で手ぶらで降りてしまい、ドアが閉まった直後「あれ、私のバッグどこだっけ?」とあたふたし、ドアが閉まった直後に「あ、荷棚に置いたままだった…」と気付き、車両がホームをゆっくり発車して去っていくのを、果てしない無力感に襲われながら、ぼうぜんとホームで見つめる。

……などなどの事案が発生しており、要は“物忘れ”がかなり深刻化しているのだ。

このままだといずれ、本業の芸能デスク業務において重大な紙面上の「忘れもの」(※重要な記事を載せ忘れるとか絶対掲載しなければならない連載を載せ忘れるなど)をするのも時間の問題と思われ、正直、日々、ビクビクしながらデスク業務にあたっている。

この「ワスノン」によってそれらが“改善”すれば効果ありとなるのだが、これから自身で“臨床人体実験”をしてみて、さてどうなるか。

この薬、「物忘れの改善」という効能を認められたという生薬「オンジ」からなるエキスを配合。情報の脳内伝達が活性化することなどから、改善が見込めるという。

業務上は「物忘れ改善薬」が必要かもしれないが、本音を言えば、記憶をスパスパ消していく「忘却力」増強薬をどこかで求めている自分がいる
業務上は「物忘れ改善薬」が必要かもしれないが、本音を言えば、記憶をスパスパ消していく「忘却力」増強薬をどこかで求めている自分がいる

「ワスノン」によって、服用していなければ起きていたかもしれない、業務上の重大な「忘れもの」がなくなるのであれば、それはそれで素晴らしい。

ただ、もし改善せず効果が見られない場合は、「ワスノン」でも追いつかないほどの、深刻な「物忘れ」症状に陥っている可能性もあり、いよいよ切った張ったの、この業界からの“フェードアウト”も視野に入れねばならない。

とはいえ、渡辺淳一氏の「鈍感力」ではないが、本音を言えば、むしろ、過去に起きたことを次々と脳内から消去していく「忘却力」、あるいは周囲の会話の内容が頭に一切入ってこない「遮断力」のほうをどちらかといえば強化していきたいので、ある意味「物忘れ」症状の進行は逆説的には良いと言えるのかもしれず、なかなか難しいところだ。【文化社会部・Hデスク】