スマホ1台あれば、街中で不自由なく暮らせるようになったが、デバイスがロボット型に進化し、移動手段に使えたり、友だち作り機能まで備えたらどうだろうか。そんなBボットが普及した近未来が舞台だ。

バーニー少年の父親は浮世離れしていて、Bボットを持たないわが子がクラスで孤立していても無頓着だ。ようやく買い与えたBボットは「ロン」と名付けられたが、不良品で肝心の友だち作り機能が使えない。

バーニーはいらつきながらも、個性的なロンを憎みきれず、自分なりに「友だちの作り方」を入力していく。人間的な思考をするようになったロンは時に暴走し、騒動を巻き起こす。これを知った製造元の大企業が回収に乗り出すが…。

コロナ禍で、リモートでは伝えきれないもどかしさ、人恋しさを実感しているからだろうか。ロンを通じてバーニーが幼なじみと友情を取り戻していくさまに妙にジンとさせられる。

新進サラ・スミス監督の感性と、ピクサーのベテラン、ジャン・フィリップ・ヴァイン共同監督の技巧。バーニーを取り巻く自然光と、IT企業内の洞窟のような奥行きの対照がAI時代の表裏を象徴している。【相原斎】

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