90年代に米国の音楽界で勃発したヒップホップ東西抗争の末、2人の人気ラッパーが銃撃を受けて相次いで亡くなった、未解決事件を実話に基づいて映画化した。真相を追い続けた、実在した元ロサンゼルス市警の刑事をジョニー・デップが、事件について書いた記事に悔恨の念を持ち、刑事のもとを訪ね、ともに究明しようと苦闘する記者をフォレスト・ウィテカーが演じた。初共演の2人の、力強い芝居のぶつかり合いは見ものだ。

米西海岸のラッパー、2パックが96年9月、東海岸のノトーリアス・B.I.G.が97年3月、相次いで射殺。所属レーベル同士の報復合戦が招いたとうわさされる中、刑事プールはB.I.G.暗殺事件の9日後、あおり運転をした非番の黒人警察官が、白人の麻薬潜入捜査官に射殺された事件を捜査する中、黒人警察官がB.I.G.と対立する西海岸のレーベルの、極悪なCEOに雇われていた事実を突き止める。同レーベルに関与した複数の汚職警察官も浮上する中、スキャンダルの露見を恐れた市警に捜査を妨害される。

当時のニュース映像を織り交ぜ、事件を深掘りする作風はドキュメンタリーさながらだ。一方で事件が非常に複雑で登場人物も多く、相関図を片手に見たくなった。物語を追う集中力を保つためにも万全の体調で見ることをお勧めしたい。【村上幸将】

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