主演俳優に引かれて映画を見る、という点から言えば今一番の人かも知れない。マ・ドンソク(51)。「無敵の巨体」に磨きがかかり、変わらぬ童顔との組み合わせがますます面白い。

ソウル市南西部の警察署に勤務するソクト刑事(ドンソク)は、体を張った独自の捜査方法で街中のトラブルを解決している。容疑者移送のために赴いたベトナムでもオレ流を貫く彼は、現地警察を混乱に陥れながらも、両国にまたがる連続誘拐殺人事件の真相に迫っていく。

事件現場や背景はシリアスに作り込まれ、冷酷な凶悪犯は鳥肌もののキャラに仕上がっている。Netflixで配信された「私の解放日誌」で謎の男ク氏を演じて注目されたソン・ソックがこの敵役を演じ、目を背けたくなる迫力だ。

ソクト刑事と同僚の人情的なやりとりは時にコミカルで、この凶悪犯にはとても歯が立たないように思える。が、そこがドンソクの存在感だ。ロケセットを破壊し続ける規格外のアクションや童顔に隠された先を読む力に説得力がある。

不遇時代には、それを理由に役に恵まれなかった「大きすぎるところ」は今存分に生かされている。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)