破壊力は満点だ。アメコミのアンチヒーローを実写映画化。5000年前の眠りから目覚めた破壊神ブラックアダムが、大暴れする姿を描く。強大な力で破壊の限りを尽くすブラックアダムの前に立ちはだかるのは、最強ヒーロー軍団「JSA(ジャスティス・ソサエティー・オブ・アメリカ)」。

ブラックアダムを演じるのは、ハリウッド屈指の肉体派スター、ドウェイン・ジョンソン。丸太のような腕をブンブン振り回し、スピード感たっぷりに暴れまくる姿は、ワイルドだ。そのド迫力に圧倒された。飛んでいる戦闘機でもお構いなしにぶっ壊す暴れっぷりの荒唐無稽(むけい)さは漫画のようで、何度もクスッと笑えた。

最強のアンチヒーローの目には怒りとともに悲しみが宿る。最愛の息子の命を犠牲にして手に入れた「呪われた力」は無限大のパワーに見えるが、苦悩がある。なぜ、そこまで怒りまくるのか。破壊王は人類の脅威となるのか。5000年分の「闇」は深く、知られざる過去も明かされる。世の中には「善」「悪」があるが、すべてが「善」ではないというメッセージも込められている。【松浦隆司】

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