全国でも珍しい「足の神様」として知られる大阪府豊中市にある服部天神宮にフィギュアスケート男子の羽生結弦選手(23=ANA)のファンが連日、訪れています。関西には羽生選手の名前と似ていることからファンの「聖地」となっている兵庫県神戸市の弓弦羽(ゆづるは)神社がありますが、「足の神様」に参拝するファンの思いは切実です。

 阪急電鉄宝塚線「服部天神駅」を東に出ると、すぐに鳥居が現れます。参道を進むと、本殿に到着。草履の絵の入った絵馬には、羽生選手の足の回復を願う言葉がしたためられていました。

 「羽生結弦選手の足のケガが1日も早く良くなり、心配なく練習が出来るようになり、平昌オリンピックに向けてすべての事が良い方向に向かい、オリンピックで最高の演技で金メダルが取れますように。ゆづくんの足をお守り下さいますようにお願い申し上げます」

 他にも、けがが治って万全の演技ができるよう祈願する絵馬が多く奉納されています。羽生選手は11月のNHK杯(大阪)の公式練習中に着氷した際、右足関節外側靱帯(じんたい)を損傷。平昌(ピョンチャン)五輪代表には選ばれましたが、故障の回復が五輪本番に間に合うか心配されています。

 服部天神宮の加藤芳哉宮司(59)は「11月中旬から日を追うごとにファンの方の数が増えています。境内の百度石を黙々と往復しておられるファンもいます」。

 同神社の「足の神様」の由来は、平安の昔、「学問の神様」菅原道真が大宰府に流される途中、持病の脚気(かつけ)の回復を、この地にあった医薬の神を祭ったほこらに願をかけたところ、すっかり治ったという言い伝えがあります。

 境内の一角にある「草履堂」には、古い草履に交じり参拝者が奉納した靴やスリッパもあります。足の病気が完治し、お礼参りで松葉づえを奉納する人もいるそうです。

 加藤宮司によると、天神さんの御利益にあずかったスポーツ選手は多く、男子サッカーのメキシコ五輪得点王釜本邦茂氏は、現役時代からしばしば参拝に訪れていたそうです。他にも阪急ブレーブス時代、13年連続で盗塁王を達成した福本豊氏、サッカー選手の参拝も多いそうです。

 加藤宮司も羽生選手が万全の状態で臨めるようにと祈るような思いです。男子66年ぶりとなる五輪連覇。「足の神様」も力強く後押ししてくれるはずです。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

服部天神宮には羽生選手のけがの回復を願う絵馬が奉納されている(撮影・松浦隆司)
服部天神宮には羽生選手のけがの回復を願う絵馬が奉納されている(撮影・松浦隆司)