欅坂46小林由依(20)が、新曲「誰がその鐘を鳴らすのか?」(21日に配信限定リリース)について語ります。5年の歴史に幕を下ろしての改名再出発を発表した欅坂46にとって、最後のシングル。楽曲の魅力や、グループへの思い、そしてファンへのメッセージを伝えます。

欅坂46ポーズを見せる小林由依
欅坂46ポーズを見せる小林由依

「誰がその鐘を鳴らすのか?」は、欅坂46らしいメッセージ性の強さと、優しい雰囲気が入り交じったようなナンバーだ。歌詞には、そっと誰かに呼び掛けるようなフレーズもある。

「今までは、自分たちが相手に向かって『僕』が意見をぶつけるような歌詞が多かったと思いますけど、この曲は、『みんなでいろんなことを言ってきたけど、1回立ち止まって耳を傾けてみたら、もっと新しい何かが見えるんじゃないかな』というのが『僕』の主張になっています」

楽曲冒頭は、小林の語りから入る。「答えは最初の語りの中にあるけど、みんなそれが聞こえなくて、曲が続いていく。いろんなものと戦って、最後に、気持ちが解放されるイメージです」と説明する。

「パフォーマンスは結構激しいです。最初のみんながバラバラの振り付けのところは、意見の違いを表現しているんだと思います。サビでそれがそろった時に、力強く見えるように意識はしていますね」

19年2月発売の「黒い羊」以来、1年半ぶりのリリース。「やっぱり、ファンの方をすごくお待たせしてしまっていたのは感じていて、何か早く動きたいという思いがありました」。新型コロナウイルスの影響でイベント開催も難しい状態が続いたが、先月、初の生配信ライブを開催した。そして、アンコールで、グループの改名再出発を電撃発表した。

7月の生配信ライブのリハーサルでメンバーたちと写真を撮る小林由依(右)。左から小池美波、石森虹花
7月の生配信ライブのリハーサルでメンバーたちと写真を撮る小林由依(右)。左から小池美波、石森虹花

15年8月の結成から濃密な5年間を過ごした欅坂46への思いは、当然、特別なものがある。言葉を選びながら、心境を明かした。

「今までも結構いろんなことがあったけど、そのたびに、自分がちゃんと頑張れば乗り越えていけるんじゃないか、って思って、それを活力にやってきました。でも、今回はそれだけだとやっぱり無理な部分があって。感情的には、悔しい部分ではありました」

ゆっくりと言葉を紡いだ。

「でも今は、前向きに頑張っていけたらいいな、と思っています。この気持ちをぶつける部分を変えていければ、また新しく動きだした時、もっといいものになるんじゃないかなっていう、希望を込めて」

改名発表後の公式ブログでは、「感情だけで乗り越えられるほど簡単に壊せる壁ではありませんでした」とつづっていた。

「やっぱり、今まで自分たちが作ってきた『欅坂』というブランドイメージが、壁になってしまった部分ではあると思います。いろんな業界の方や、世間の方から求められている『欅坂』をこれからも続けられるのか、メンバーの重荷になってしまうかもしれない。全員が全員強いわけじゃないので、感情だけでは進めない部分がありました」

現状、10月開催のラストライブをもって、欅坂46としての歴史に幕を下ろす予定だ。「今までの5年間を全部、こう、ぶつけきれるくらいのものにしたいと思います。やっぱり、欅坂の1人として、ちゃんと、その日を生きたいですね」と力を込めた。

「この5年間は、メンバーにとってもすごい大切なものだったし、ファンの方々にとっても、多分、忘れたくない時間だと思うんです。それを、今後、重荷に感じてほしくはなくて。『そこに上書きしてさらに頑張るぞ』というよりは、その思い出を大切に残しておきながら、新しく進んでいければいいのかなって」

改名を惜しむファンや関係者は多いが、グループにとっては新たな可能性も秘めたリスタートとなる。

「決断をしたのは私たちなので、それに責任を持って、『これからもついて行こう』と思っていただけるようなグループにしなきゃいけないなって思います。いろんな方に興味を持っていただきつつ、ファンの方々には、純粋に、私たちを見て元気になってもらえるように、そこまで重い感じにならずに、待っていてもらいたいです」

高1の夏に欅坂46に加入。過去8作のシングルでは、現役メンバーでは最多となる5回のフロント(ポジション最前列)を経験した。18年のNHK紅白歌合戦で平手友梨奈(19)の代理でセンターを務めるなど、高いパフォーマンス力で、苦しい時に重役を任されてきた。「これからも、いろんなところでグループを支えられる人になりたい。ファンの方を飽きさせないように、モデルや個人の活動も頑張りたい」と話す。

「自分の人生、まだまだいろんな試練があると思うので、ちゃんとした大人になれるように、いいことも悪いことも、もっとたくさん経験したいです」

弱冠20歳。グループの大きな節目を前に、重みのある言葉の1つ1つが、次への推進力となる。【取材・構成=横山慧】

欅坂46ポーズを見せる小林由依
欅坂46ポーズを見せる小林由依

◆小林由依(こばやし・ゆい)1999年(平11)10月23日、埼玉県生まれ。15年8月、欅坂46の一期生オーディション合格。愛称「ゆいぽん」。特技はギターやサックス。ファッション誌「with」専属モデル。161センチ。血液型A。