タレント、YouTuber、女優。丸山礼(26)のマルチっぷりはどこまで広がるのだろうか。モノマネタレントとしての船出から、主演を務めたNHK「ワタシってサバサバしてるから」(23年)で大きな反響を呼び、女優業も絶好調。今月24日放送のTBS系「すっぴんヒーロー」(午後2時)で民放ドラマ初主演を飾る。打てば響く活躍。多方面で見せる丸山の、今とこれまでを聞いた。【望月千草】

★テンション爆上げ

今、仕事が楽しくて仕方がない。丸山の受け答えや表情は素直だった。一躍知名度を上げた「ワタサバ」に続く、待望の2度目の主演ドラマ。「えええ~!? 主演もう1回やっていいの?という感じでした。(同枠の)過去作品を調べてみたらすごい俳優さんたちばかり。波に乗ってしまうぞと思いました(笑い)」と、したり顔。上がるテンションを隠しきれない。

芸能生活の始まりは、“ロバート秋山似”の芸人枠だった。気分が落ち込んだ時、にぎやかなテレビを見ると元気が湧いた。「仲間入りをしたい」。地元北海道の高校を卒業後、現事務所の養成所に入所。19歳でデビューした。「芸能界に入る前は友近さんの演技やネタ、トークとかに憧れてました。渡辺直美さんのファッションにも。ただ、この世界に入ったら『この人たちのイスは埋まっていたんだな』って」。だが、タダでは折れない。「いいところを取りそろえた人になりたいなと思いました」。

★マネジャーの言葉

駆け出し当時の自身を奮い立たせてくれた言葉がある。「デビューした時に初めて就いてくださったマネジャーさんが『お仕事下さい、何でもやります』って言う人になるんじゃなくて、『これがやりたい』とか提案できる人になってねと言ってくれて。すごく大きかったです」と回顧する。

元来「超負けず嫌い」な性格。どのくらいかというと、さかのぼること中学時代。「中1まで水泳を9年やっていたので体力には自信があったんですけど、やめて体力が落ちちゃったんです。そしたら体育の授業の50メートルの徒競走で、張り合っていた女の子の親友に負けて。悔しくて、グラウンドでシャーペンを折りました(笑い)自分ができると思い込んでて負けちゃって。(ペンは)ちゃんとつぎはぎして使いましたよ」。インパクト強めのこのエピソードは、今でもその親友と話題に上る。

★人一倍「できたい」

人一倍「できたい」気持ちも強い性分。興味のあった女優業への進出をピラミッドの頂点と捉え、到達に必要な行動を逆算した。意思を言葉にし続け、20年にドラマ初出演。23年には「ワタサバ」との縁に恵まれた。「主演ってこんなに魂すり減るんだなって。修業って感じでした」。各回15分の放送につめこまれた“自称サバサバ女”の演技の反響はすさまじく、SNSでも大バズり。さらには「番組を観たおじいちゃん、おばあちゃんが『これ面白いよ』と孫に伝えて、その孫から私のSNSにDMとかコメントが来たり」と知名度が拡大。「私にできることって多分それなんです。若い子のパワーを集めて視聴者層を増やす、みたいな」。“使命”をつかんだ「ワタサバ」は、もはや名刺代わりの一作だ。

★自分の深層のぞく

民放初主演となる今作も、注目が集まりそうだ。演じるのは街の平和を守るスーパーヒーロー・ひろこ。変身すると超人的パワーを得る代わりに“すっぴん”になってしまう。ユニークな物語に思えるが「コメディータッチじゃない私になりそうだなという感じはありました」という。

主人公と自身を重ねると、1人の女性として共感できる点も多い。「コンプレックスを抱えているというか、すっぴんを見せたくないという役。自分との結び付きを考える時間は大きかった。私も一重がすごく嫌だったり、ふくよかだったりして、“モテ”の路線ではないというか…」。小学生の頃、友人同士で互いの好きなものなどを記入する「プロフィル帳」の交換が流行した。だが「好きな人の名前を書く欄にイニシャルを書いたりするんですけど、男の子に渡すとその欄に自分の名前は書かれないんです。モテる子たちに憧れているけど、そうなれないという小学生時代もありましたね」。コンプレックスやトラウマ。自分の深層をのぞいた。

等身大の女性を演じるため、自身の生活にも変化をつけた。タクシーを控え、移動手段は主に電車やバス。「撮影が終わった後、マネジャーさんと駅のホームで自販機のコーンスープで乾杯したり」。飾り気のない生活は、自然と身になじんだ。「のうのうと生きてる私じゃだめだと思ったので」。ジム通いで体を鍛え、フィジカル面でも“ヒーロー”を意識づけた。「表面的じゃなくて、傷つくとか自分の人生が変わっちゃうような出来事がぎゅっと詰まっているドラマ。それでも、自分のため愛する人のために闘いたいというのは、私も普段あるような…。見ている人も重ねやすいし、私にとってもすごく重なった部分があったかな」。等身大で演じきった今作に自信をのぞかせた。

★劣等感今では誇り

マルチな活躍は、まるで“ヒーロー”のよう。そう伝えると「言い過ぎですよ(笑い)」と謙遜したが「やりたかったことができているなっていう誇りはありますね」。少し恥ずかしそうにほほ笑んだ。登録者数約127万人を誇るYouTubeチャンネルでは、「コンプレックスだった」一重まぶたを生かしたメーク動画を配信。「お兄ちゃんは二重で、私は一重。子どもの頃、親戚に会うと『お兄ちゃん顔きれいねー』とか言われるのが嫌でした。その情景をすごく覚えているんです。一重のメークを極めると、世の中の一重の子たちから『礼ちゃんのメークまねします』とかSNSのコメントで頂いたり。役に立ったなって」。

そのコンプレックスも、今では誇り。「これでロバート秋山さんに似ることができたし、二重にすると土屋太鳳さんになった。芸能界に入って、これは武器だと思えた。克服まではいかないけど、プラスに考えられるようになったかな」。

★重宝されて嬉しい

丸山の動画は見ると「元気が出る」と評判だ。中でも「やらかし発表会」「愚痴共有会」は人気企画。視聴者の日常生活での失敗やストレスを共有し、吐き出して笑い飛ばす。「重宝されてうれしい。エゴサーチすると『元気ないときに取りあえず丸山礼の動画見る』『生きるのしんどくなった時に丸山礼の動画見る』とか出てくるんです。誰かの役に立てて良かったなと思います」。そして「誰か笑わせたい、よりも役に立ちたいの方が大きいんですよね」。この仕事を続ける信念に触れた。

目指す理想像について問うと、ユニークかつ明確に表現した。「いろんな遺伝子を受け継いだ、ハイブリッド競走馬になりたいです」。1等賞を目指して、走り続ける。

▼親交の深いLittle Glee Monsterかれん

礼ちゃんとの出会いのきっかけは、原宿の街中で声をかけてくれたことでした。元々お互いに知っていて、すぐ打ち解けました。出会ってすぐくらいの頃は、礼ちゃんもまだバイトをしていてよくバイト先に遊びに行ったりなんかも。その時から、志が高くて自分のネタをもっと良くするためにはどうしたらいいのかとすごく悩んでいたのを覚えています。私はお笑いの事は分からないけれど、当時の自分なりに礼ちゃんにエールのメッセージを送っていたことは懐かしい思い出。本当に多方面で大活躍していて、友達として、同じ事務所の仲間としてとても誇らしく思います。私も礼ちゃんの頑張りを見て、もっと頑張りたいと刺激をもらう毎日です。

◆丸山礼(まるやま・れい)

1997年(平9)4月1日生まれ、北海道出身。ワタナベエンターテインメント所属。事務所の養成所で首席となり、16年にデビュー。ロバート秋山竜次の物まねや顔まねでブレーク。20年にテレビ朝日系「警視庁・捜査一課長 season5」でドラマ初出演。23年NHK「ワタシってサバサバしてるから」で初主演を務めた。SNSの総フォロワー数は250万人超え。3月2日の「マイナビ TGC 2024 S/S」に出演予定。158センチ。血液型AB。

◆すっぴんヒーロー

スーパーマーケットの店員として働くひろこは、変身すると超人的パワーを手に入れる代わりに“すっぴん”になってしまう。自分のすっぴんに自信が持てず、その姿を見られないように戦っているが、ある日デート中に街に怪しい悪の気配が忍び寄り…。

 
 
TBS系土曜☆ブレイク「すっぴんヒーロー」で主演を務める丸山礼(C)TBS/撮影:加藤春日
TBS系土曜☆ブレイク「すっぴんヒーロー」で主演を務める丸山礼(C)TBS/撮影:加藤春日
TBS系土曜☆ブレイク「すっぴんヒーロー」で主演を務める丸山礼(C)TBS
TBS系土曜☆ブレイク「すっぴんヒーロー」で主演を務める丸山礼(C)TBS
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TBS系土曜☆ブレイク「すっぴんヒーロー」で主演を務める丸山礼(C)TBS