宝塚歌劇の雪組公演「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」「FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)」が12月1日、兵庫・宝塚大劇場で、当初予定から3週間遅れて初日を迎えた。

2カ月ぶりの大劇場作。初日終演後には、雪組トップ彩風咲奈があいさつし、感極まった。その後、途中休演もあったが、13日に宝塚千秋楽へたどり着いた。東京宝塚劇場は来年1月3日~2月11日。

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生田大和氏が作・演出の芝居は、「名探偵シャーロック・ホームズ」を生み出した英作家サー・アーサー・コナン・ドイルが主人公。トップ彩風は、口ひげを蓄えたドイルにふんした。

今作は、ドイルが作家として名を成し、自らの分身であるシャーロック・ホームズとの間で葛藤しつつ「自分らしさ」を求めて駆け抜けるさまを描く。彩風がエネルギッシュに表現すれば、人気スター朝美絢は実在しないシャーロック・ホームズを好演。トップ娘役の夢白あやはドイルを支える妻ルイーザを演じた。

今作で退団する人気スター和希そらは、ドイルの原稿を採用した「ホームズ担当」の編集者役。歌、芝居、ダンスと3拍子そろった技量を存分に発揮した。頼もしさを増す縣千は催眠術師をコミカルに表現した。

ショーは野口幸作氏の作・演出。来年誕生100年の雪組記念作として制作し、クリスマス、大みそか、新年と「冬の休暇を楽しむエンターテインメント・レビュー」に仕上げた。

宝塚で12月、続く東京公演は来年の正月作。雪組99~100年へかけての上演になり、明日へ「つないでいく」内容になっている。

大劇場公演は10月1日の宙組から中止となり、続く雪組公演も11月10日の開幕延期となっていた。満席の客席に迎えられ、初日上演後、彩風があいさつ。「今日の日まで、お客さまが待ってくださっていたこと、こうして初日にたくさんのお客さまが劇場にいらしてくださったこと、心から感謝の気持ちでいっぱいでございます」。途中、涙で声を震わせ、思いを伝えた。

「皆さまに感謝の気持ちを、1日1日大切に、お返しできますよう、お客さま1人1人のために、大切なあなたのために、愛する雪組の仲間とともに、千秋楽まで元気に駆け抜けてまいりたいと思います」

ただ、開幕後は途中休演があり、12日に再開。宝塚千秋楽の13日には「今日という1日、また大切なものがひとつふえました」と口にした。試練を乗り越え、宝塚千秋楽へたどり着き「苦しませ、悲しませてしまって、それでも、大切なあなたがいるから、舞台に立つことができます」と笑みもまじえてあいさつ。「世界には、それでもまだ、物語が必要だと信じ、東京公演へ向けて、元気に走ってまいりたい」と約束していた。【村上久美子】