ロンドンブーツ1号2号の田村淳に、日刊スポーツの記者が取材する連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」。今回は、3月、卒業の季節に思うことを聞いてみた。

 3月、4月はテレビ番組改編の季節ですね。

 テレビに出させていただいている身としては、この時期に番組がどうなるのか、全く気にならないっていったら、ウソですけど。もちろん、番組が始まればうれしいですし、なくなれば悲しい。

 でも、毎回それに一喜一憂する感じではないです。いつかは終わりが来ますからねぇ。ずっと番組が続くっていうことの方が、奇跡的だと思います。

 テレビ朝日の「ロンドンハーツ」はもう、17年やらせてもらっていて、4月から金曜の午後9時に引っ越しますけど、20年を目指してこれからもがんばっていきたいと思ってます。

 でも長年やっていた番組が終わるのって、どんな気持ちなんでしょうね…。ボクら出させていただく方の身にとっては、自分の力だけでは、どうにもならないこともありますからねぇ。


 3月は、卒業の季節でもありますね。

 卒業して環境が変わる人もたくさんいると思うけど、ボクは高校3年の秋に内定の出た建設会社を蹴ったのが、人生のターニングポイントだったと思っています。山口の下関で、同級生と漫才コンビを組んでいて、「東京に連れて行ってやる」っていう、ちっちゃな事務所がでてきたので、会社に入らずにそこに人生をかけてみようと思ったのがターニングポイント。

 故郷の人から見れば「よく、そんなところ行くな」っていう感じでしたね。下関から見ると、東京は大阪、名古屋のさらに先ですから。


 でもそのときに建設会社に内定をもらっていたから、高校担任に「断りたいんですけど、どうやって断ればいいんですか」って聞きに行ったんです。「そんなの断れるわけないだろう」って言われた。だから中学時代に1番信頼していた藤井先生に相談したら、「もう、会社まで行って土下座でもして、他にやりたい事が見つかったので就職できなくなりましたって、正直に伝えて来い」って。

 それで、言いづらいけれど…そうしようって思いながらとりあえず家に帰ったら、母ちゃんに「あんたの内定先の会社が倒産したよ」って言われたんですよ。渡りに船!

ホッとして、すごい喜んで…。それ見た母ちゃんはすごくびっくりしたって言ってました(笑い)。

 会社の人たちは倒産したことは残念だったと思いますけど、その時のボクは、これで心置きなく東京に行けるって思ったんですね。


 若い人たちが、これから新入社員として社会に出ますけど、世の中に出たら、「こんなはずじゃなかった」って思うような、大きな壁がたくさん立ちはだかると思います。まずは、その壁に驚愕するといいと思います。腰を抜かせばいいんです。

 そしてその壁にどう対応するかで、その後の人生というか…、生き方が変わってくるのだと思います。しっかりと1つ1つの選択肢を真摯に答えながら、後悔しないように進むんです。後悔しても次に後悔しない方法を探すしかない!

 壁の越え方って人それぞれ違うでしょう…。穴を掘ってもいいし、抜け道を見つけてもいいし。どんな形にしろ、取りあえずのり越えることだけを考えたらいいんじゃないかなと思います。


 最初の壁から逃げちゃったら、その後の人生、ずっと逃げ続けるようになるんですよ。逃げるのって本当に簡単で、いつでもできるから、初めに逃げ癖がついてしまったら、なかなか直すことができない。

 逃げた道の方が実は複雑な迷路になってて気がつくと抜け出せなくなる様な気がするんですよね。とにかく壁にぶち当たっても迷路に迷い込んでも逃げずに、頑張って自分の道を探して欲しいなぁと思います。って言ってるボクが今、迷路に迷い込んでますが(笑)



※連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」は、日刊スポーツの各分野の記者がさまざまなテーマで取材し、率直に話して貰う企画です。今回は「卒業の季節」について、芸能担当の小谷野俊哉が取材しました。(ニッカンスポーツ・コム連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」)