ロンドンブーツ1号2号の田村淳に、日刊スポーツの記者が取材する連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」。最終回となる今回は「淳の将来」について聞いてみました。

田村淳
田村淳

 直近の目標は、自分のテレビ局を持つこと。この時代だからこそできる自分の発信の本拠地を持っておきたい、誰にも気兼ねなく自分の言葉と考えで発信できる場所。そのために運営の仕組み作りをしたり、準備を進めているところです。

 

 もう少し先の将来は、ウエディング関連の仕事をしていたいなぁ…。今までの司会業のノウハウを生かして結婚式の司会者をやってみたい。テレビ業界だけに依存しすぎるのは、あんまり良くないかも、と思っているんです。テレビじゃないところに生活の基盤がある方が、よりフラットな立場で出演できる様な気がするんです。その方法のひとつが、結婚式の司会者かなと。

 

 ウエディング事業に興味を持ったのは、ボク自身が結婚式を挙げたときに「結婚式はエンターテインメントだ」って実感したから。結婚式には“笑い”があって、“泣き”があって…、司会者の腕で、その場の空気が一変する。式の雰囲気作りを担っている。それって実はテレビ番組の作り方と同じで、式の参加者が「ああ、楽しかった、いい結婚式だったね」って言うのって、面白い生放送だったねって感覚と似てると思うんです。

 

 ボクの結婚式は、出川哲朗さんと狩野英孝が司会をやってくれたんです。たどたどしい進行だったけど(笑い)、2人にハートフル司会で、とてもいい結婚式になりました。

 

 結婚式って、新郎のあいさつとか、新婦が親に向けて手紙を読むとか、フォーマットがある程度決まっているじゃないですか。だから司会者は、あの空気をどれだけ崩せて、またどれだけ作り直せるかっていう能力があれば十分。きっちり進行する必要はないんですよね。崩す部分と感動する部分の落差が大きければ大きいほど、より感動が大きくなる。それを得意とする芸人が司会する結婚式は、すごくハートフルなものにできると思います。

 

 ボクは運よくテレビに出られて生活ができるようになったけれど、世の中には面白いのに売れない芸人がたくさんいるから、そういう人達を結婚式に派遣するような仕事にも興味がありますね。

 

 42歳の、今の時点のボクが思い描くこれからの人生はというと…、50歳くらいまでに、影響力を持つテレビ局みたいなメディアを持つ。自分が演者をやっているから、演者の視点でそのテレビ局を切り盛りしてみたい。編成も制作もやってみたいし…、もしかしたら、もう自分が出演者として出るっていうことをやっていないかもしれないです。

 

 もしもテレビ局を作っていたとしたら、60代はたぶん東京にいないかも。メディアを運営する仕事をやっているとしたら、中央から離れていてもいいなぁ。スタジオさえあればどこからでも発信できるし、中央に集中しているものを、地方に持っていくようなことをしたいですね。


 ボクは島育ちですけど、新たなことにチャレンジするのは、地元じゃないところがいい。あえて新天地でやる方が、ドキドキ感がありますよね。


 それで、ボクの局の近くに結婚式場があって、式の様子も配信するのもいいかな。今ボクがプロデュースしている結婚式では、式の様子を生配信してるんです。配信を見ている人にとっては見ず知らずの人の式なのに、最後は見ている人が感動して泣いていたりするんですよ。そこに今度は、クラウドファウンディングのように、見ている人が“投げ銭”できるような仕組みを取り入れたいと思っています。どこのだれだかわからないけれど、見ている人が投げ銭をして、2人への祝福ですって集まったお金が例えば18万5000円だとしたら、そのお金はご祝儀として新郎新婦に届きます、みたいなのがやりたい(笑い)。自分は部屋でカップラーメンを食べているけど、世の中にはその瞬間に結婚式を挙げている人がいて、それをスマホとかから見て「おめでとう」ってご祝儀が送れるとか、すごくすてきな仕組みじゃないですか。

 

 こうやって「なんでもやってみる」ってことに対して、自分自身でもいやだなって思ったこともあったんですよ。「あいつ、何がしたいんだ?」って、みんな思っているんだろうなぁって…。


 芸人として舞台の上で漫才をやり続けるとか、ひとつのことを突き詰めるというやり方もあって、ボクはそういう生き方をする人が大好きですし、ボクも最初はそれを目指してました。でも、ボクは1つを突き詰められる人間じゃないと思った。ネタをやらなくなって、テレビだけをやってきたから、自分を偏っている人間だと思っている。だからいろんなことをやって、自分の中でバランスを取り始めているんです。ウエディングのこととか、ネットの配信、政治の番組とか…。そうすることでどんどん“芸人”とは乖離(かいり)していくのだけれど、やりたいことは全部やるって決めて、自分の中にチャンネルを増やしていっています。


 「可能か不可能かは関係なく、やりたいって思うことは行動して発信していく。発信していると、助けてくれる人が出てくるよ」っておっしゃってくれた方がいて、その言葉にすごく動かされたんです。実際に、ボクも自分のやりたい事を発信することでたくさんの人が集まってきてくれて、声をかけてくれて…、すごく助けて貰っています。そうやっていろいろなことをやって進んでいくことで、どこにゴールするかは、自分でもわからないです。


 でも全部自分のやりたいことだから、沢山やった中で、どこが特化していっても大丈夫。それがボクっぽいなと思っているし、「いろいろなことをやっている」ということを、極めていきたいと思っています。


 ※連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」は、今週で終了します。今回は「将来」について、ニッカンスポーツ・コム編集長の南沢哲也が取材しました。(ニッカンスポーツ・コム連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」)