女優川島なお美(かわしま・なおみ)さん(本名・鎧塚なお美)が24日午後7時55分、胆管がんのため都内の病院で死去した。54歳だった。昨年1月に腹腔鏡手術を受け、約2週間入院。復帰後も活動などを続け、9月までミュージカル「パルレ ~洗濯~」に主演していたが、同16日、長野・伊那市で行われた公演後に体調不良を訴え、同作を降板。再起を誓っていたが、ステージに戻ることはできなかった。

 今月16日に公演先の長野県伊那市で体調を崩し、自宅療養中だった川島さんは、鎧塚氏らにみとられ、息を引き取った。11月5日の20年ぶりのソロライブで復帰することを目標にし、再起する思いは最後まで持っていた。

 女優として人生をまっとうした。各界の著名人と共著した「私の人生観」で川島さんは「最後の最後まで力を振り絞って女優として天寿をまっとうするってすばらしい。つらさ、苦しさ、痛さを伴うのは壮絶ですけど、女優としては憧れます」と書いた。亡くなる1週間前まで、力を振り絞って舞台「パルレ ~洗濯~」に出演した。翌17日には降板したが、夫でパティシエの鎧塚俊彦氏(49)もフェイスブックに「息を引き取るまで川島なお美はやっぱり川島なお美のままでした。本当に立派でした」とつづった。

 今月7日、鎧塚氏とシャンパンの新商品発表会に出席した。しかし、ドレスからのぞく二の腕の細さが際立ち、取材陣や関係者も体調を心配した。好きなワイン、シャンパンもやめ、特別な時だけ少し口を付ける程度になったことを明かしたが、「元気です」と笑顔だった。「激やせとか言われてる場合じゃない。2キロのダンベルを持って発声練習をしています」などと、翌日から始まる舞台への意気込みも語っていた。

 11月から12月にかけては、ミュージカル「クリスマス・キャロル」に出演する予定だった。しかし、これも降板が決定。23日には、代役に同じ事務所の渡辺めぐみ(51)の起用が発表され、川島さんも「今は早く復帰したい一心ですが、完璧に元気になって女優に復帰できるよう当面は治療に専念させていただくことになりました」とのメッセージを発表した。

 川島さんを知る人は「人一倍責任感が強かった」と語る。13年冬も「クリスマス-」に出演していたが、その時は既に闘病中で、年明けに手術を控えた時期だった。それでも共演者は「つらい顔なんて一切見せなかったので、病気であることさえ知らなかった」と振り返る。

 川島さんは闘病中、民間療法に出合い、都内のクリニックに通っていた。過剰な電磁気エネルギーを取り払ったり、体を温める治療を受けていた。アルコールを口にしなくなってから、水についての知識を深め「水ソムリエ」の資格を取るなど、ケアに努めていた。

 「女優としてまだやっていないことがたくさんある。何でも挑戦したい」と話したことがあった川島さん。あまりにも早すぎる旅立ちだ。

 ◆川島なお美(かわしま・なおみ)1960年(昭35)11月10日、名古屋市生まれ。青学大在学中に芸能界デビュー。ラジオ番組の「女子大生DJ」として話題に。82年、日本テレビ系「お笑いマンガ道場」で全国区になり、女優活動開始。93年、ヘアヌード写真集「WOMAN」が話題に。ドラマでは、97年、渡辺淳一さん原作の日本テレビ系「失楽園」が代表作。不倫関係に陥るヒロインをヌードも辞さずに演じた。映画は、「新極道の妻たち 惚れたら地獄」「鍵」など。広島国際学院大客員教授も務めた。09年に鎧塚氏と結婚。フランスワイン4大産地から騎士号を叙任。ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル、シガーアドバイザーの資格も持つ。愛犬家でも知られた。

 ◆胆管がん 胆汁を十二指腸まで送る働きを持つ「胆管」の上皮にできる悪性腫瘍。肝臓内にある胆管にできるものを肝内胆管がん、外にできるものを肝外胆管がんと分類される。腫瘍で胆管内が狭められるため、胆汁が流れにくくなり、皮膚や目に黄疸(おうだん)ができやすくなる。そのほかの症状としては皮膚のかゆみ、体重の減少、発熱、食欲不振など。症状が出にくく、症状が出た時点では進行している場合が多い。

<川島なお美さんの昨年手術後の動き>

昨年1月   腹腔鏡手術 2週間入院

今年9月7日 鎧塚氏と新商品発表会「激やせとか言われてる場合じゃない」

  同16日 公演先の長野県で体調不良を訴え、主演ミュージカル降板

  同19日 ブログに「エンジンを直してます。待っていてくださいね」

  同23日 代役会見にもメッセージ寄せ、最後のブログ更新

  同24日 午後7時55分 死去