オペラ歌手鈴木慶江(43=すずき・のりえ)が12日、大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、3月2日発売の新アルバム「OPERATIC FANTASY(オペラティック・ファンタジー)」をPRした。アルバムは「誰もが耳に親しんだキャッチーな曲」を中心に13曲を収録。ディスコナンバー「宇宙のファンタジー」や松田聖子の名曲「瑠璃色の地球」などクラシック以外の楽曲もオペラ仕立てで楽しめる。

 今年でメジャーデビュー15周年という節目を迎えるが、「あっという間でした。でも1つ1つ振り返ると、本当に色々なことに挑戦して来たなと思います」。

 イタリア留学時代にデビューを果たし、国際的な声楽コンクールで高い評価を得た。02年の紅白歌合戦にも出場、その後も「オペラの裾野を広げたい思い」で多くのコンサートに出演し続けてきた。一方20代、30代で地道に取り組んできた練習が花開き、40代で音域の幅が広がったと言う。「留学先のイタリア人指導者から慶江の音域はもっと広いはずだと教わった。トレーニングを積んで、30代後半でようやくその領域にたどり着いて歌えるようになった音もある」。特に喉(のど)を大切にしてきたと言う。「オペラ歌手にとって喉は唯一の楽器。例えば自分に合わない声域の楽曲を求められたとき、本当は受けたい仕事もお断りして来た。辛かったですが、無理して歌うと喉が壊れる」。

 今年、自身の誕生日でもある今年1月1日には、ユニークなチャレンジも行った。名曲「威風堂々」を歌いながら降下する新春スカイダイビングに挑戦。軽飛行機で大空に向かい、思い切って地上約4000メートルから飛び降りた。パラシュートが開いた地上約2000メートルからは「まるで空中で立っているような感覚だった」と振り返り、地上で待機するスタッフにも聞こえるほどの歌声を響かせた。「威風堂々のサブタイトルは明日への賛歌。上空から皆様の幸せを祈った。今はやってよかったなと思います」。元日の上空で得たものは、自信という追い風かもしれない。

 13日には神戸・松方ホールでソプラノリサイタル、3月6日には東京で「ミモザの日」リサイタルを予定。