NHKは6日、次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(10月3日スタート、月~土曜午前8時)のヒロインに芳根京子(19)が決まったと発表した。朝ドラには14年「花子とアン」にヒロインの親友の娘役で出演。オーディション4度目の挑戦でヒロインを射止めた。芳根は東京、大阪の同局で行った会見で抱負を語った。

 応募2261人から選ばれた。芳根はヒロインの役名「坂東すみれ」にちなみ、すみれ色のドレスで登壇した。「昨日聞いたばかりで実感がなく不思議な気持ちでいっぱい。1年間すみれと二人三脚で頑張りたい」とあいさつした。NHK三鬼一希制作統括は芳根について「すみれにぴったりな愛らしさと芯(しん)の強さ、真っすぐさを持っている」と話した。

 芳根は「芯の強さ」を指摘されると、中学2年の時に、両手両足に力が入らなくなるギラン・バレー症候群を発症したことを明かした。「少ない可能性ですが亡くなる方もいて命の尊さを実感した。こんなにも人に支えられ、人に見守ってもらっていると感じた。『ありがとう』『ごめんなさい』と思いを言葉でしっかり伝えようという意識が出てきた。芯が強いと言われるのは病気を経験し、自分をしっかり持とうと思ったからだと思います」。病気は1年間休学して完治した。「急に足が速くなり、持久走では学校で1番になりました」と笑った。

 朝ドラは「花子とアン」で仲間由紀恵が演じた蓮子の娘役で出演しているが、ヒロインのオーディション挑戦は15年「まれ」以降、4作連続。過去2回は1次選考で落ちた。今回は最終面接に残っただけで「うれしかった」という。今月5日に最終オーディションと言われて東京から大阪に向かい、到着してすぐに合格と告げられた。「朝ドラのヒロインは雲の上の存在でした。仕事を始めて約3年で、もっと経験しないと無理と思っていましたので今びっくりしています」。

 ヒロインは子供服専門店を立ち上げた女性。オーディションでは、ぞうきんを縫う演技テストもあった。「祖母が洋裁の先生をしていて、遠い世界ではなかったので。これならできるぞと思いました」。実際は緊張のあまり「2~3分、糸が針に通らなかった」。

 収録は5月から大阪や神戸などで行う。「たこ焼きが好き。大阪では粉ものをいっぱい食べたい」と無邪気に笑った。

 ◆芳根京子(よしね・きょうこ)1997年(平9)2月28日、東京都生まれ。13年フジテレビ系「ラスト・シンデレラ」で女優デビュー。14年NHK連続テレビ小説「花子とアン」でヒロイン花子の親友、蓮子の娘を演じた。昨年のTBS系連続ドラマ「表参道高校合唱部!」でドラマ初主演。映画は昨年の「幕が上がる」など。特技はピアノとフルート。159センチ。血液型A。

 ◆「べっぴんさん」 昭和初期、神戸に生まれ、裁縫や刺しゅうが大好きな坂東すみれはお嬢様育ちで、結婚、妊娠もするが、戦災で家も財産も失ってしまう。幼い娘のため、困難を乗り越え、子供服作りに奔走し、日本初の総合子供洋品店をオープンする。