女性5人組バンド「たんこぶちん」のボーカル兼ギター担当のMADOKAこと吉田円佳(21)が女優デビューする。映画「二度めの夏、二度と会えない君」(9月1日公開)でヒロインを演じた。余命が長くないと知りながら、音楽と共に青春を楽しもうとする女子高生という難役だった。

 小6からバンドを組み、音楽一筋の10年間を過ごしており、女優業は「考えたこともなかった」という。バンドを組む女子高生という設定。ミュージックビデオを見てほれ込んだプロデューサーから出演依頼を受けた。「最初はすごく悩んだ。できるかどうか不安でした」と言うが、「この映画をきっかけに『たんこぶちん』を知る人が少しでも増えるなら」と決意。バンド愛が決め手だった。

 撮影前の3カ月、レッスンを積んだ。早口言葉をゆっくり正確に言う発声練習から始めた。「勉強になりました。滑舌は歌にもつながる。はっきり歌詞が伝わるかもと思った」。常に音楽活動が頭をよぎる。

 撮影初日は驚きの連続だった。「人の数がすごい。スタッフさんが多かった(笑い)」。いきなり2日目に重要な場面を撮った。「撮る順番がバラバラっていうのは衝撃を受けました。気持ちの整理が難しい」。映画撮影の洗礼を浴びた。それでも「感情移入できるところがたくさんあった。歌を歌っているもの同士つながるところがいっぱいあった」。ステージで自分をはじけさせる場面や、思いを寄せていた人に思わぬ言葉を言われ「気持ちがぐちゃぐちゃで、マックスな気持ちで歌に向かえなくなる」という場面も「すごく分かった」という。「気持ちで歌うことが一番伝わると思う。10年やってきて、気持ちが落ちた時、うまくいかなかった時を思い出しながらやっていました」。

 演じたヒロインは、残された時間を存分に使って生きることを選んだ。演じながら刺激を受けた。「自分のやりたいことや好きなこと、私だったらバンドと、ついて来てくれる人、仲間を大事にしていかんばなって(=いかなきゃいけないなって)」。熱くなるあまり、思わず佐賀弁が出てしまい、照れ笑いした。【杉山理紗】

 ◆吉田円佳(よしだ・まどか)1996年(平8)3月24日、佐賀県生まれ。小学6年の時に友人らと「たんこぶちん」結成。ヤマハ主催オーディション「Music Revolution」に毎年出場。13年に同コンテストファイナルで受賞したことをきっかけに高校3年生でメジャーデビュー。血液型O。