女優吉永小百合(72)が4日、都内で、120本目の映画「北の桜守」(滝田洋二郎監督、3月10日公開)の完成披露舞台あいさつに出席、サプライズで主題歌「花、闌(たけなわ)の時」を歌唱した。約2000人の観客には思わぬお年玉になった。吉永が観客を前に歌うのは、12年10月、映画「北のカナリアたち」の完成試写会以来、約5年3カ月ぶり。

 舞台あいさつ前の会見で吉永は、歌への意欲を見せていた。岸部一徳(70)と初めて一緒に歌うことに、吉永は「今日はサリーさんとご一緒。こんな機会はめったにない。ドキドキしています」。グループサウンズの人気バンド、ザ・タイガースで活躍していた当時の岸部の愛称を出し、高揚した笑みを見せた。岸部も「夢みたい」と喜び、正月返上で曲を覚えたとした。

 本番、作詞作曲したシンガー・ソングライター小椋佳(73)が歌うところに、吉永と岸部がデュエットしながら加わった。吉永が透明感のある声を響かせると、大きな拍手を受けた。終了後、吉永は「小椋さんの歌声に聞きほれていて自分の声が聞こえませんでした。緊張していたのかもしれません」とコメントした。

 桜づくしの着物に、作品への思いが表れていた。会見では桜色の着物に桜の花びらをあしらった帯、舞台あいさつでは薄紫色に桜柄。「朝を呼ぶ口笛」(59年)での映画デビュー以来、120本目の作品の完成に「ホッとしております。こんなにこんなに楽しく終われたのはうれしいことです」としつつ、早くも「封切りに向かって全力で走っていきたい」と熱く語った。

 堺雅人(44)からは「ひたむきで一生懸命で全力」、篠原涼子(44)からは「吉永さんと一緒にいるのは本当に夢のよう」と、尊敬と憧れの言葉を受けたが、吉永は「私はまだまだアマチュア」と、さらなる成長を誓っていた。【小林千穂】