6日に開催されたピン芸人日本一決定戦「R-1ぐらんぷり2018」で盲目の漫談家、浜田祐太郎(28)が優勝した。「いまだに、自分が優勝したのが不思議、信じられない」という浜田に話を聞いてみた。

 優勝してから周囲の反応が大きく変わった。「街中で、声をかけていただけるようになりました」という。大阪を中心に活動しているが、劇場近くまでは白いつえをついて自力で行く。「劇場までの『通勤』は近くまで行けば、仲間やスタッフがサポートしてくれる。この間は、声をかけてくれた人がナンバまで一緒に付いてきてくれました」と、自分のペースを保っている。

 目の見えないハンディも、生まれつき左目が全く見えず、右目が光を感じる程度の浜田にとっては当たり前のことという。妻夫木聡似のイケメンという声にも「僕は妻夫木さんの顔が分かりませんからね。R-1に優勝して言われるようになりました」。R-1に優勝したことで、所属の吉本が衣装を用意してくれるようになった。「今までは、買いに言ったお店の店員さんにお任せだったんですけどね。今日、着ているスーツもいいらしいけど、分かりません」と笑う。

 女性の好みは「見た目が分からないので、声がかわいい人。特徴のある声の人がいいです。芸能人で言えば、鈴木奈々さんと小倉優子さん。アニメも画像は見えないんですけど聞くので、声優の丹下桜さんと内田真礼さんの声が好きです」。声では、以前、街中で声をかけられてサポートしてくれた若い女性が印象に残っているという。「『知らない人に声をかけるのは怖くないですか』って聞いたんですけど、『私の友達で困っている人を助ける人がいて、私もそうなりたいと思っていました』と答えが返ってきたんです。すごくいいなと思いました」と振り返る。

 劇場には、浜田の目がほとんど見えないことを知らない客もくる。ネタの最初に目のことを話しながら「迷ったら笑ってくださいね」と話す。「心がけているのは、目の見えないことをネタにしているので、なるべく分かりやすく最初に伝えること」と言う。

 高校在学中に鍼灸(しんきゅう)師の資格を取り、卒業1年後にNSC(吉本総合芸能学院)入り。その間は、大阪のマッサージ店で働いていた。目のハンディを笑いに変える「吉本に入って将来が見えなくなってしまった」という、つかみがR-1優勝で使えなくなった。「1年後は『もっと見えなくなってしまいました』に変わってるかもしれませんね」と笑う。

 目標は「大阪で息の長い芸人になること。トークバラエティーをやってみたいですね」。カラリと明るく話した。