テレビドラマ「必殺」シリーズや映画「お葬式」などに出演した女優菅井きん(本名佐藤キミ子)さんが今月10日午後2時に心不全のため亡くなった。92歳だった。

72年の「必殺仕事人」からプロデューサーとしてシリーズを手掛けた、元朝日放送の仲川利久氏(84)がコメントを寄せた。

「第1弾の『必殺仕事人』が完全に男性向けの番組で、もっと広い層に番組を見てもらいたい、奥さんたちにも見てもらいたいと、番組内に家庭をだそうと。ただ家庭を出すのでは面白くないので、中村主水を婿養子とし、怖い義母と妻、という設定にした。その際のキャスティングで見た目がきついお義母さんという理由で菅井きんさんにお願いしたところ、快く引き受けてくれた。(見た目できつい顔は説明しなくてもひと目でわかる)。最初は台本に基づいて打ち合わせしていたが、途中からは主水をどういたぶるか、菅井さん、白木さん、藤田さんの3人にお任せすることもあった。3人共あのシーンにやりがいを感じていただき、菅井さんからもいろいろとアイデアを出してもらった。菅井さんと白木さんの役名が『せん』と『りつ』、合わせて『戦慄(せんりつ)』。菅井さんのあの『婿殿』の一言で茶の間で笑ってもらえる。『婿殿』の一言が必殺仕事人のエンタテーメントを担ってくれた。俳優さんでたった一言で存在感を出せるのはすごいこと。素顔の菅井さんは周囲に気を使い、上品で心優しい人。撮影現場ではお母さんと呼んでいた仲間が無くなり、非常に残念で寂しい。心よりお悔やみ申し上げます」