MBSの三村景一社長(63)が29日、大阪市北区の同局で社長会見を開き、100回大会を迎え、今夏注目を集めた「全国高校野球選手権大会」を地上波で放送した在阪の老舗ライバル局・ABCテレビ(大阪市福島区)に「敵ながらすごいな。あっぱれ」と賛辞を送った。

関西地区での高校野球放送は、かつては夏の大会をABCが、春の選抜大会は同局(MBS)が、NHKと同時に地上波で放送していた。ただ、1日に複数試合ある中継に従事するスタッフや、事前の準備など「放送局としての体力面」の問題に加え、CMが入らないNHKと比べると、視聴率でおくれをとる問題があった。

このことから、MBSは、CS放送「GAORA」の普及などもあって、地上波での1回戦からの中継を02年を最後に取りやめ。03年からは準決勝以降、15年からは決勝のみを地上波で放送している。

その経緯から、三村社長は、依然として、夏の大会の全試合中継に臨んでいるABCにふれ「CMもライブ感を出したり、スタンドからの映像を残したりと、とても工夫していた」と分析。今夏は史上初の2度目の春夏連覇がかかっていた地元・大阪桐蔭や、金足農の躍進など、見ごたえのある試合が続き、視聴率の面でもABCはNHKに対抗して健闘したことをたたえ「よくぞ、NHKと張り合ってくれた。民放としては純粋にうれしい」と話した。

MBSは平日夕、関西の名物生番組「ちちんぷいぷい」を放送しており、関西地区での認知度は高いが、それでも「今年はぷいぷいが(ABCに視聴率で)とられた日もあった」とも言及。ABCとMBSといえば、東京キー局の関連会社として関西に開局した在阪局が多い中で、ともに、独立局として開局した歴史を持つ在阪の2大老舗局。そろってラジオ局も併営し、半世紀以上もライバル関係が続いている。

それだけに「今後を考えると、(ABCには)ひじょうに脅威を感じています」とも口にした。

一方で、選抜の地上波中継を復活させる考えには「(ABCに)刺激を受けたのは事実だが、来年の選抜も配信を含めて総合的にやっていく。GAORAもありますし」と否定的だった。