ナルシシストと冷淡なつっこみ-。

独特の世界観で成長著しいお笑いコンビ「祇園」が、大阪・なんばグランド花月(11月9日)と、東京・ルミネtheよしもと(11月30日)の、東西2大拠点で、コンビ初の単独ライブを行う。

タイトルは東西2日間で4公演を行う「ぎおんまつり」。このほど、日刊スポーツのインタビューに応じ、2人の「ヤバイ」キャラが続々と、明かされた。

自他共に認める「ナルシシスト」キャラを貫きボケる木崎太郎(32)と、その木崎を、冷静に的確に鋭く突っ込む桜井健一朗(34)。今年、結成10年を迎えた2人は、4月の「第53回上方漫才大賞」で新人賞を獲得し、念願の初タイトルを得た。

2人は、NSC(吉本総合芸能学院)大阪校(ともに28期生)で出会い、コンビ結成。当初はコント中心で、設定もあいまいだったという。

転機は14年。大阪の若手劇場から巣立ち、覚悟を決めた。木崎は「このままじゃいけない。武器は何かと考えた時に、自分がひた隠しにしてきたナルシシストを出せばいいと」。“木崎解放宣言”と呼ばれている(らしい)この決意で、現在のナルシシスト漫才が確立されていった。

元々は「ジャニーズとかに応募したかった」と話す木崎。「根っからのナルシシスト気質」だそうだが、相方の桜井は「この業界では、それって“イタイ”と言われる。最初は必死に隠してました」とばらした。

痛くておもしろいキャラが定着した今でさえ、普段の木崎は「むちゃくちゃ暗くて、むちゃくちゃ真面目」だと、桜井は明かす。

若手劇場を出た後は、大阪府内各所の劇場を渡り、試行錯誤の日々が始まった。

桜井 お年寄りの営業とか行くと、まったくウケず(自分らが)死ぬんちゃうかってぐらいスベった。

木崎 スベり過ぎて、スベリーズハイになりますよ。よくそこで辞めんかった。そういうお客さん相手にやってたから、逆にそこでウケたらどこでもウケると自信になった。

苦闘の日々を振り返った2人。とある漫才の賞レースでは、審査員から「それは漫才じゃない、キャラクターコント」と厳しいダメ出しを受けた。

木崎は、当時を振り返り「賞レース、審査員となると『また言われるんじゃないか』と怖さがあった」。葛藤と向き合いながらも、「上方」でついに結果として認められた。

木崎は「審査員の先生方に、非常に否定され、今まで受け入れられなかった。でももう、何の不安もない」。桜井も「その人が間違ってたんだと思えたので、うれしかった」。スタイルを変えずに挑んだ反骨心が実った。

藤井隆に憧れて芸人を目指した木崎には「勝手に師匠と思っている」先輩芸人がいる。ナルシシスト芸の先駆者「NON STYLE」の井上裕介(38)だ。

「自分が出せるようになったのも、井上さんがいたから。井上さんがやられているし大丈夫だろうと」。同じキャラの大先輩に対し「井上さんは“ブス”なのにやってるから、それを“男前”の木崎やったら超えられるんじゃないかと思っています」と素直な思いを告白した。

それでも井上には「まだまだオレのレベルではないぜ」とあしらわれるそうだ。その言動にも、木崎は「さすがやな」と感心する。

木崎のキャラが立つ一方、桜井は-と言うと、こちらも個性的? 特徴的? な素顔を持つ。

木崎によれば、桜井は「ネチネチしているタイプ」だそうだ。SNSで自身のファッションにケチをつけられると、桜井は、その人物を突き止め、物申しに行くこともあるという。

「何かで批判とかされたら、その人の情報は全部調べ上げる」。木崎が、桜井の異常性を暴露した。

すると、当の桜井は涼しい顔で肯定。「やられたらやり返すし、やられた力で押し返してるだけ。僕はツッコミですから、普通の感覚を持っていないと突っ込めないので、そこは心がけてます」。意にも介していない。

そんな桜井を見て木崎は「まともな人、普通の人はいないですよ、我々祇園には。ヤバイやつ×ヤバイやつ」と自虐的に表現した。

そんなコンビによる初単独ライブは、初物づくしになる。桜井は「初-は、1回しかありませんのでぜひ、見に来ていただきたい」。木崎は「これから絶対に、全国的に人気になっていきます。先に、木崎につばつけといて下さい」と全世界の“キザキスト”予備軍に呼びかけた。