生活のため家族ぐるみで万引をする一家を描き、昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた是枝裕和監督の「万引き家族」について、伊勢崎市議会議員の伊藤純子氏が「諸外国に誤ったメッセージを発信している」などと批判し、賛否を呼んでいる。

同作が第91回アカデミー賞の外国語作品賞にノミネートされた22日、伊藤氏はツイッターで「現代日本で、小学校に通えない児童などいません。たとえ『貧困』と言われる家庭であれ、学校に通えない児童など存在しません。万一、就学実態が確認できなければ、話題になり、ニュース報道されます。この映画は諸外国に誤ったメッセージを発信しているようなもの。日本はそんな悪い国ではありません」と苦言を呈した。

「小学校に通えない児童などいません」と断言する伊藤氏に対し、無国籍児や所在不明児、不登校の児童などを例にあげて反論する声も寄せられたが、伊藤氏は24日、「私が申し上げたのは、どんな境遇でも学校に通うことができる、制度上の話です。就学実態については一言も触れていません」と反発。また、「映画を観ていないのでは?」といった指摘に対し、「映画ビジネスに名を残す目的で作品を手がけるような監督の映画など、観たくもありません」と言い切り、「私個人の意見として、映画『万引き家族』は、単なるネガティブキャンペーンとしか目に映りません。社会風刺や、時の政権批判をするバンクシーの落書きが芸術として称賛されていますが、他の落書きと同じ器物損壊に過ぎません」と酷評した。