第92回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が10日、都内で行われ、主演女優賞の安藤サクラ(32)と主演男優賞の柄本佑(32)が夫婦そろって登壇した。

安藤は「万引き家族」で受賞。産後初の出演作を「何も持たずに現場に行けた、すがすがしい気持ちだった」と振り返り、「1つでっかいものを出産とともに出したのかな」。

柄本は「君の鳥はうたえる」などで受賞。昨年10月に亡くなった母、角替和枝さんに思いをはせ「直接は報告できなかったけど、上(天国)に報告しました。口癖が『何でもない日、万歳』だったけど、今日くらいは『何でもなくない日、万歳』って言ってくれるかな」としみじみと語った。

受賞後、司会者から夫婦で並ぶように促されると、照れる柄本に、安藤は「こんなこと一生ないから!」とピシャリ。その後、緊張の糸が切れたのか大粒の涙を流すと「ちゃんとしてなきゃと思ったけど、お祭り騒ぎだからもういいや」と泣き笑いした。

11年、第84回の同表彰式で安藤は助演女優賞を、柄本の父、明は助演男優賞を受賞しており、「柄本のお父さんの代理で和枝さんが座っていたのを思い出して」と感慨深げに語った。

この日は安藤の父、奥田瑛二(68)からも夫婦ダブル受賞を祝うコメントが寄せられた。安藤は「ここまで来ると恥ずかしくなってくる~」と身内話の連続に顔を赤くし、最後は「奥田家と安藤家が賄賂を渡している訳じゃなく、正式な受賞ということを報告しておきます」とアナウンスし、会場の笑いをさらった。

表彰式には助演女優賞の木野花(71)助演男優賞の松坂桃李(30)新人女優賞の木竜麻生(24)新人男優賞の寛一郎(22)も出席。日本映画監督賞を受賞した瀬々敬久監督の代理として川瀬陽太(49)が、特別賞を受賞した樹木希林さんの代理として娘の内田也哉子(42)が登壇した。【遠藤尚子】