最優秀助演女優賞は、昨年9月に亡くなった樹木希林さん(享年75)が、「万引き家族」「日日是好日」で受賞した。最優秀は、主演女優賞、助演女優賞合わせて4回目。希林さんの代理で、長女でエッセイストの内田也哉子さんが壇上でスピーチした。

也哉子さんは、6年前に「わが母の記」で希林さんが最優秀主演女優賞を受賞した時のスピーチを振り返った。「母が『これをいただくと来年司会でしょ。全身がんなので約束できないのよ』と口を滑らせました。私は、何でおめでたい場で言うのかとクレームを付けましたが、本人はいたって平然と『だっていつ死ぬか分からないから、ちゃんと断っておかないと先方にも迷惑でしょ』と。なんてまっとうな心根を持っているんだろうと思いました」。

昨年から今年にかけ、数多くの映画賞を受賞した希林さん。日本アカデミー賞は賞レースの最後を飾る賞でもあり、一区切りがつく。

也哉子さんは「映画作りという真剣勝負の場で、彼女の言動は時に人を傷つけたと思います。すべての映画関係者におわびも申し上げます。稀なる出会いに心より感謝申し上げます。本当に長い間、お世話になりました」と感謝を示した。

「わが母の記」で共演した役所広司がプレゼンターを務め「希林さんの毒舌が聞けない。さみしい気がします」、日本アカデミー賞でともに司会を務めた西田敏行は「司会をした時のこともしっかりまぶたに残っています。いつも淡々としていて、ここにいらっしゃったら『うれしくもあり、うれしくもなし』くらいのお返事はいただけるのではないでしょうか。あなたは孤高の、唯一無二の先輩です。あなたをまねたいけどまねできない」とたたえた。