イチロー選手を題材にした映画「走れ!イチロー」(01年公開)を撮影した大森一樹監督(67)は21日夜、日刊スポーツの取材に「王さんでも長嶋さんでも、張本さんでもない、新しい野球選手の“その後”を、異次元の活躍を見せてほしい」と、第2の人生へも期待感を示した。

映画は、メジャーへの夢を実現させたイチロー選手を軸に、オリックス球団の協力を得て、夢に向かって走る人々の姿を描いた。

大森監督によると、劇中、イチロー選手の撮影は1場面のみ。イチロー選手が関空から出国する際に同行し、撮影した。

「あの時、僕は(取材に来ていた)記者さんから聞いたんですけど、『僕はゴジラじゃありませんから』って返したそうで、野球だけじゃなくて、ひじょうに頭がキレて、ウイットに富んだ人だなあって」

平成ゴジラ・シリーズを手がけた大森監督を意識した絶妙のコメントに、大森監督は感心したという。

ストイックにプロのアスリートとして戦い続けたイチロー選手を「スポーツを通して心の高みに行きはった哲学者のような人」と表現。それゆえに「引退後も監督や、コーチとか、少年野球の指導者とか、そういうのよりも、イチロー選手らしい異次元の活躍を見せてほしい」と話した。

また、映画監督としての目線から所属球団マリナーズの“演出”にも感嘆。「引退はもうしょうがない。でも、最後まで試合に出てね、ああやって守ってね。日本のファンの前で最後をね、最高の花道じゃないですか。ドライなアメリカ人が、ウエットな演出をしてくれました」と驚いていた。