多臓器不全のため1日に亡くなったほら吹き漫才の第一人者、漫才師の横山たかし(本名・山高孝=やまたか・たかし)さんの訃報から一夜明けた3日、相方、横山ひろし(72)が大阪・DAIHATSU心斎橋角座で取材に応じた。

「純金車いす」とともに舞台に立ったひろしは「ここにいると思います」。相方の面影を思い浮かべながら「彼は日本一の漫才師。最高の相方だった。ありがとう。長いこと2人で夢をみさせてもらった」と涙ながらに語った。

2日に密葬で行われた葬儀では棺に金ピカの衣装を入れたという。「すまんのぉ~」のトレードマークだった赤いハンカチは当初、胸に置かれていたが、口を少し開けてくわえさせた。

「あっち(天国)へ行って、だれか分からんかったらあかんから」。たかしの弟子からは「漫才を続けて」とのメッセージを受け取り、形見として金ピカの衣装をもらった。

「ほら吹き漫才はもっと年をとってからのほうがおもしろくなると思っていた。2人がつえをつきながらやり、シルバー世代のアイドルになりたかった」

最後の会話は5月31日。病室にお見舞いに行き、You Tubeで2人の漫才を見せた。「さあ、舞台やで!」と話すと、たかしさんは「ハイ、ハイ、ハイ」。「いままでで一番、大きな声だった」。別れ際、相方は「眠たいんよ」とつぶやいた。「疲れてるからな。ゆっくりな」と病室を出たという。

後日、お別れ会を大阪市内で開く予定。「相方のいい意味での悪口を思い切り話したい」。相方からの「漫才を続けて」には「いまはまだ何も…。白紙の状態です」。ひろしは舞台の「純金の車いす」を見つめていた。