ラジオの在京キー局初の女性社長が誕生した。ニッポン放送の檜原麻希社長(57)。会社をどんな方向に導くのか聞いた。

檜原氏 社長の内示を聞いた時は、えっ、まさかと思いました。2、3日は過呼吸気味でした(笑い)。

-女性トップの強みはどこにあると考えるのか

檜原氏 たまさか初というクレジットが付いてしまうのなら、よりこの業界で女子も力を発揮しやすい環境にするサポートもできればと思います。あと自分らしいことを自然体でやりたいですね。

-自身のカラーをどう出すのか

檜原氏 大事なのは人間、社員の力。これが財産。「会社はチーム」という認識のもと1人1人のベクトル、個性があちこち向いて発信され、ある時1つの方向に向くのがいい。これからメディア単体で何かをやるのは難しい。外との連携は立体的に必要。社員が外で誰と知り合い、どんな仕事をやるかが大事。自分のキャリアの形成での強みとなり会社の強みになればいい。基本は遊ばないと(笑い)。

-仕事をする上で心がけてきたこと、ポリシーは

檜原氏 働き方改革とは正反対時代の入社。まあ、24時間闘えますか、みたいな、どんなに飲んでも、朝、はってでも来いみたいな精神で当時は働いていたと思います。でも、逆に、朝は大変だけど夜は遊べというふうな先輩たちの雰囲気の中で育っている。そんな中、忙しいのは忙しいですよね。休みも取れない中、いろんな違うジャンルの仕事を同時に走らせていかないといけない。それで迷いが生じたら、立ち止まって「ストップ&シンク」と自分に言い聞かせてました。1度立ち止まって考えろ、冷静になれと。今の世の中は情報が速い、どんどん流れていく世の中。立ち止まって1回考えることは必要かと思います。

-将来ラジオはどうなる

檜原氏 ラジオはこれからめちゃくちゃ発展するメディアではないと思いますが、絶対に無くならない。もしかしたら、いつか違う形の会社になるのかもしれませんが、必ずブランドの1つとしてラジオをやっている会社であればいい。

-ラジオ主体ではない時代が来る可能性もあるのか

檜原氏 もしかしたらそっちがいいかもしれない。よく言われるのはITの会社。組み合わせやすいのかも。これだけパラダイムシフトが起きている時、既成概念をどれだけ取っ払えるかが大事。

-趣味や元気の源は

檜原氏 学生時代は写真を撮るのが好きでライブハウスでバンドを撮ったりしていました。現像も自分でやりましたよ。元気の源は、仲間。あと、おいしい物を食べて、おいしいお酒を飲んでいたらハッピーです。酒量は普通。そんなに飲まない。酒豪ではないです。

必死に酒豪を否定し、合間に「飲まない日はそんなにないかな」とぽつり。正直な人柄。親しみを感じた。また、外との連携を重視するスタンスに今後、会社がどう変化していくか楽しみになってきた。【取材=中野由喜】

◆檜原麻希(ひわら・まき)1961年9月7日、東京生まれ。85年に慶大文学部卒業後、同年4月にニッポン放送に入社。09年デジタル事業局長、11年編成局長、15年取締役編成局長、16年取締役(営業担当)、18年に常務取締役に就任。趣味はカメラ。血液型O。