女優瀧内公美(29)が、映画「火口のふたり」(荒井晴彦監督、23日公開)で、大胆なぬれ場に挑戦している。

かつて思いを寄せ合った男女が再会し、欲望に身を任せる物語で、このほど、インタビューで作品や役にかける思いを語った。TBS系「凪のお暇」(金曜午後10時)にも出演中で、幅広い演技が注目される。

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「火口のふたり」の出演者は柄本佑と瀧内公美の2人だけ。かつて恋仲だった男女が互いを求め合うという、シンプルながら異色な作品だ。瀧内は「脚本から欲を浴びました」と言うほど、強烈な印象を受けたという。

出演に際し不安に思ったのは、ヌードやベッドシーンではなく、せりふの量と細かい芝居だった。「(脱ぐことは)そんなに不安ではなかった。本能のままに生きることがテーマの作品なので、『見せない』というのはない、と思いました。そう思えた脚本でした」。考え抜いた上で、シンプルな結論を出した。

演じる上で貫いたことがある。「(役柄の)直子は賢治のことが好き、という一心を常に持っていればいいと思って演じました。出演者は2人だけ。思いを誰かに邪魔されることもなかった」と、難しい2人芝居を味方に付けたとした。

デリヘルでアルバイトをする女性を演じた映画「彼女の人生は間違いじゃない」(17年)でもヌードになった。最近少なくなった、脱ぐことをいとわない女優のイメージは確かに、ある。瀧内は「そう思われているんだなあ、とは思います。でもそこ(脱ぐこと)にはこだわりはないですね。それだけじゃない。もっと表現にこだわり続けていかなきゃいけない」と、とらえている。

振り幅の大きさはすでに話題だ。「凪のお暇」では、主人公を上から目線でマウントする元同僚を演じている。役に溶け込み、「火口-」と同じ人物と気付かない人もいるはずだ。

瀧内は「やってみたいと思う役はたくさんあります。共通するのは自己主張する女性です」と、米映画「深夜の告白」(53年)「ブルージャスミン」(14年)に出てくる女性たちを挙げた。悪女でも他人には理解されにくい役でも、納得すれば振り切れる、という覚悟を感じた。【小林千穂】

◆瀧内公美(たきうち・くみ)1989年(平元)10月21日、富山県生まれ。高校時代からグラビア活動を始める。上京し、12年に女優活動開始。14年、映画「グレイトフルデッド」で主演。映画はほかに「日本で一番悪い奴ら」「ここは退屈迎えに来て」など。17年の主演映画「彼女の人生は間違いじゃない」では、各映画賞で高い評価を受ける。趣味は山登りなど。167センチ。

◆火口のふたり 会社が倒産し無気力に過ごしている賢治(柄本)は、かつて恋仲だった旧知の直子(瀧内)の結婚式に出席するため、故郷の秋田に戻る。再会した2人は、直子の婚約者が戻るまでの数日間、本能のおもむくままに体を重ね合う-。「R18+」指定作品。原作は白石一文氏の同名小説。脚本家として知られる荒井氏の3作目の監督作。