“ゴミ清掃員芸人”の異名を持つマシンガンズ滝沢秀一(42)が今、注目を集めている。昨年出版したゴミ清掃員の日常をつづったエッセー「このゴミは収集できません」は現在6度の重版を重ねている。8月上旬には「ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本」も出版した。日刊スポーツの取材にこのほど応じた滝沢は、ゴミ問題について本気で訴えた。

清掃員を始めるきっかけは妻の妊娠だった。「7年前に妻が妊娠して40万円必要だと言われ、もうアルバイトしかないなと」。

だが、年齢制限の壁があった。当時36歳。「年齢不問を見つけて連絡したけど全部断られました。芸人廃業も考えましたが、そういえば芸人を辞めたやつがいるなと思って、その中の1人に紹介してもらいました」。

「このゴミは-」を出版した背景には事務所の先輩有吉弘行(45)の存在があった。「ツイッターで“あるある”をつぶやいたらリツイートしてくれました。有吉さんを楽しませようと思って繰り返していたら、出版社からダイレクトメールがきたんです。有吉さんには足を向けて寝られません!」と感謝した。

ゴミ清掃員歴7年でいろんなものが見えてきた。今や“ゴミ大国”とも言われる日本。滝沢流の解決策はこうだ。「根本的にゴミを増やさない。不必要なものを買わない。適当に買うと適当に捨てる。結局、お金を捨てているようなものです」

滝沢が最重要視しているのが食品ゴミ問題だ。「各家庭で年間約6万円を捨てている計算になります。家庭から出るのが約45%なので、みんながちょっと気を付ければ日本全体が変わると思います」。

「ゴミ育」はクイズ形式となっている。分別は地域によって違うと思われるが、全国でも通用するように作ってある。「スウェーデンはゴミ先進国でほとんどゴミを出さないんです。それは子どもの時から分別の教育をしていて、当たり前に備わっているんです。そうなって欲しくて子ども向けに書きましたが。意外と大人も分からない。でも、この50問を知っていれば基本的な考え方は理解できます」。

例えば、コンビニ弁当の容器はプラスチックゴミ(プラゴミ)だが、そのままリサイクルできるのだろうか。「汚れているので可燃ごみです。汚れていなければプラゴミです。これは僕の個人的な意見ですが、汚れを洗ってプラゴミで出すことで水が汚れるので、総合的に考えたら可燃ゴミの方がいいと思います」

お笑いが好きで、ビートたけしの漫才に憧れた。だが、実際に芸人を目指すきっかけは爆笑問題だった。「爆笑問題が若いころ、テレビで10週勝ち抜きの番組に出ていました。それがメチャクチャ格好よかったんです。バンバン笑いを取って。この人たちみたいになりたいと思ったのがきっかけです」

敬遠されがちな仕事だが、抵抗はない。「お笑いが好きで、お笑いを続けられるなら他はなんでもいいと思っていましたから。もはやどっちが本業かわかりませんが…」。

そう話す笑顔が爽やかだ。【川田和博】

◆滝沢秀一(たきざわ・しゅういち) 1976年(昭51)9月14日、東京生まれ。98年、西堀亮とマシンガンズ結成。08年一般女性と結婚し、13年に父となる。12年からゴミ清掃員を社員として始める。14年、小説「かごめかごめ」で作家デビュー。コンビでは「M-1グランプリ」で07、08年に2年連続準決勝進出。現在、ラジオ日本「60TRY部」「ネガポジ」にレギュラー出演。169センチ、62キロ。