マルチに活躍する片岡鶴太郎(64)が再びお笑いに戻る。自らの名を冠したイベント「鶴やしき」(12月7、18日)を開催する。

7日は彦摩呂らと落語・漫談公演「寄席あつめ」を、18日は関根勤(66)とのトークショー「ちょっちゅね団子」を行う。なぜ、今、お笑いなのだろうか。日刊スポーツの取材に応じ、その思いを語った。そこには芸人としての原点回帰があった。

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芸人に俳優、画家、書家、プロボクサー、ヨーギー…。鶴太郎はさまざまな顔を持ちマルチに活躍する。約25年前に絵を描き始めたのをきっかけに、露出を抑えて創作に集中してきた。「だいぶ落ち着いてきて、もう1回原点回帰したいなと思ったとき、ライブを全然やっていないことに気付いた」と振り返る。

ライブは約30年間もやっていないという。講演でネタのようなものは披露も、本来のネタを作り上げるお笑いや、トークはやっていない。「この年になって、今興味のある方に会ってじっくり話を聞いてみたい。それをテレビではなく、ライブでお客さんと共有しながらできたらおもしろいかなというのが出発点です」。7日は東京・かめありリリオホールで落語に挑戦する。「古典落語に興味があって『ねずみ』が一番好き。手を出すのはどうかと思ったけど、やっぱりこれを語れるようになりたい。そんな思いが強くなって、今年の夏くらいから仕込み始めました」。落語家には着かず“片岡流”にこだわった。

18日は、東京・浅草花劇場で台本なしの1時間半トークライブを行う。「第一声がどう転がってどこにいき、お客さんにどう反応していくかは、まさにその日しかできない生のライブ。怖いけどそれをやろうと。それが関根さんと一番やりたいことです」。

さまざまな顔を持つ鶴太郎だが、その原動力はどこにあるだろうか。「やってみたいと思うことをやっているだけ。そう思うということは、発芽していない何かがあるような気がします。それを知りたい。だからやってみようです」。何にでも挑戦する。「125歳まで生きられる可能性があるなら、それも挑戦する。そんなこと言いながら、明日死んじゃうかもしれないけどね」と笑った。

鶴太郎が今やりたいことをやり、今会いたい人と何かを作る。それを具現化するのが「鶴やしき」だ。「今後、年に3、4回はやっていきたいですね」。芸人としての第2章が始まる。【川田和博】

◆片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)本名荻野繁雄。1954年(昭29)12月21日、東京都生まれ。幼少期より役者に憧れ、高校卒業後片岡鶴八に弟子入り。81年フジテレビ「オレたちひょうきん族」で人気を博し、その後俳優としても活躍。88年、33歳でプロボクシングライセンス取得。40歳で絵を描き始め95年12月に初個展を開催。次男の萩野綱久氏も画家として活動中。