アカデミー賞の前哨戦の1つとして知られるナショナル・ボード・オブ・レビュー賞が3日に発表され、マーティン・スコセッシ監督(77)の「アイリッシュマン」が作品賞に輝いた。また、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でメガホンを取ったクエンティン・タランティーノ監督が監督賞に、スタントマンを演じたブラッド・ピットが助演男優賞を受賞した。

スコセッシ監督が、「タクシードライバー」(76年)や「レイジング・ブル」(80年)などで度々コンビを組んできた俳優ロバート・デ・ニーロと「カジノ」(95年)以来24年ぶりとなるタッグを組んだ「アイリッシュマン」は、第2次世界大戦後のアメリカの裏社会を舞台に実在のヒットマン「アイリッシュマン」ことフランク・シーランの半生を描いたNetfliオリジナル作品。アル・パチーノ、ジョー・ペシら豪華キャストも話題で、来年のアカデミー賞の有力候補の1つと言われている。

ピットとレオナルド・ディカプリオというハリウッドの2大スターの初共演で1969年にロサンゼルスで実際に起きたカルト集団による女優殺害事件をモチーフにハリウッド光と闇を描いた「ワンス・アポン・-」で、ピットはディカプリオ演じる落ちぶれた西部劇スターの専属スタントを演じて高い評価を受けていた。

また、外国語作品賞には韓国の「パラサイト 半地下の家族」、アニメーション映画賞には「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」が選ばれた他、クリント・イーストウッド監督がメガホンを取った96年アトランタ五輪で起きた爆破テロ事件を描いた「リチャード・ジュエル」に主演したポール・ウォルター・ハウザーがブレークスルー演技賞に輝いた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)