昨年12月8日に新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」に出演中、左ひじの一部を亀裂骨折した尾上菊之助(42)が2日、東京・国立劇場で、「初春歌舞伎公演」の初日鏡開きに出席し、順調な回復ぶりを報告した。けが以来、報道陣の前でコメントするのは初めて。

菊之助は、尾上菊五郎(77)中村時蔵(64)尾上松緑(44)らとともに壇上に上がった。「新年のごあいさつの前に」と言ってステージから降りた菊之助は「8日の(昼の部)幕切れと、夜の部のチケットを買っていただいた方、ご覧いただけなくて本当に申し訳ございませんでした。途中からだいぶ回復して、演出もだいぶ元通りになりました。千秋楽まで務められましたこと、みなさまのおかげと御礼申し上げます」と、感謝の言葉を述べた。

けがをした左手でマイクを持ち、現状も報告。「けがの具合につきましては、千秋楽が終わった後、病院に行きましたところ、骨も無事に付いておりました。あとはリハビリをして、ちゃんと動くようにじっくりリハビリを心がけてまいりたいと思います」と笑みを見せると、観客も拍手を送った。

菊之助は、昨年10月期のTBS系「グランメゾン東京」で、木村拓哉演じる主人公のライバルシェフを演じたばかりで、観客から役名である「丹後さん!」の声も上がった。

今年の演目は「通し狂言 菊一座令和仇討」。菊五郎は、鏡開きに使う木槌(づち)をマイクに見立てて持ち笑いを誘うと、「国立劇場の初春歌舞伎に例年のごとく出演させていただきまして、こんなにうれしいことはございません。初春らしく序幕から大詰めまで存分に趣向を凝らしています」と、自信を見せた。