俳優北村総一朗(84)の演出で、劇団昴ザ・サード・ステージLABO公演「プカプカ漂流記」が4月3日から東京・大山のPit昴で上演される。8日まで。昨年11月に58歳で亡くなった中島淳彦さんの作品で、70年代に世間を騒がせた信仰集団「イエスの方舟」を題材にしている。

北村は18年に、中島さんの代表作「無頼の女房」を「改訂版 無頼の女房」として演出した。その時に対談し、前のめりに話す北村に対し、中島さんは「来年の書き下ろしは北村さんの『アクセルを踏み続ける男』ってのはどうかな」と提案し、北村は「もうじいさんですから、私の出演はなしにして」と返した。

そのやりとりから3週間後に中島さんは脳内出血で倒れた。闘病の末、昨年11月に亡くなったが、その時には「プカプカ漂流記」上演が決まっていた。北村は「この素晴らしい作品から中島さんが真剣に生き、愛し、大切にしてきたものに少しでも触れ、感じることができるよう、精いっぱい努めます」。

稽古は始まっており、出演者は全員女性、2チームの上演となる。北村は「ベテラン、若手がダブルキャストで、のたうち回り悪戦苦闘、頑張っています。まだどこへ向かうか、右へ左へと揺れています。この芝居の行き着く先を見届けてください」と話している。【林尚之】