ザ・ドリフターズのメンバーでタレントの志村けんさん(本名・志村康徳=しむら・やすのり)が新型コロナウイルスによる肺炎のため29日午後11時10分、入院先の都内病院で亡くなった。70歳だった。23日に新型コロナウイルス陽性と判明。所属事務所イザワオフィスが同25日、文書で闘病を発表していた。

志村さんは東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの聖火ランナーとして7月14日、地元の東村山市を走るはずだったが、大会延期、そして急逝。詳細は未定も、組織委は今回の聖火ランナー権利を来夏に持ち越す方針だっただけに、無情の結果となった。

同市の聖火リレー担当部署・地域創生部東京2020オリンピック・パラリンピック推進課によると、大会組織委が志村さんを走者に決定した後、同市として所属事務所マネジャーを通じて本人に意思確認。快諾を得ていたという。担当者は「たくさんの市民が楽しみにされていた。驚きましたし、本当に残念です」と神妙に語った。兄の知行さんが市役所職員だっただけに縁も深かった。

7月14日の志村さんの走行ルートは、直前までに確定して発表される予定だった。有力候補とされていたのが、西武新宿線・東村山駅の東口駅前広場。「志村けんの木」と呼ばれている3本のけやき、志村さん直筆の記念樹看板がある。1976年に「東村山音頭」をヒットさせた際、同市から感謝状を贈られた記念に植樹されたものだ。回復して、この場を走ることが期待されていた。

渡辺尚市長は午前9時55分に「たった今、志村けんさんがご逝去されたとの速報ニュースが流れました。東村山15万市民の皆さんと共にご回復を祈っていましたが、願いが叶わず残念でなりません。心より哀悼の誠を捧げ、ご冥福をお祈りいたします。」とツイートした。

続けてフェースブックに「志村けんさん、有難うございました!!」の題名で投稿。「志村さんの訃報はネットニュースでも報道されていました。東京オリンピックの聖火リレーのランナーをお願いしていましたので、来年元気に走っていただくことを東村山15万市民と共にお祈りしていました。もう志村けんさんの『東村山音頭』を二度と見ることができないと思うと、残念でなりません。改めて、追悼の誠を捧げ、ご冥福をお祈りいたします。けんさん、東村山の名前を全国に広めて下さり、また長年お笑いで全国の多くの方を元気にして下さり有難うございました。どうか安らかにお休み下さい」(原文まま)と悼んだ。