ザ・ドリフターズのメンバーでタレントの志村けんさん(本名・志村康徳=しむら・やすのり)が29日午後11時10分、新型コロナウイルス肺炎のため亡くなった。

訃報を受け、志村さんの故郷、東京・東村山市も悲しみに包まれた。死去を知った同市の渡部尚市長(58)は30日、ツイッターで「東村山15万市民の皆さんと共にご回復を祈っていましたが、願いが叶わず残念でなりません。心より哀悼の誠を捧げ、ご冥福をお祈りいたします」としのんだ。

西武鉄道東村山駅前には、同市の認知度向上に貢献した志村さんの功績をたたえて植樹された「志村けんの木」と呼ばれる3本のけやきの木があり、縁を記す看板を記念撮影する人も見られた。この日午後「志村けんの木」近くに献花台が設けられ、老若男女が献花に訪れた。同市に30年以上住む60代男性は、献花に訪れる人を見つめ「『ありがとう』と言いに来ました」と話した。仕事で全国へ出掛けるが「『東村山から来た』と言うと、みんな『東村山音頭の?』『志村けんの?』と、顔がほころんで仕事がしやすくなるんです。どんな田舎でも伝わる」と感謝した。

市内にある志村さんの実家前を通る際、手を合わせる人もいた。近くに住む80代女性は、志村さんについて「いるっていうだけで明るいし、親しみがある」。おいを連れて近所のラーメン店を訪れる姿を過去に何度も見ていたといい、「寡黙で、普通の感じの方です。亡くなって本当に残念です」と話した。【遠藤尚子】