新型コロナウイルスの影響で休演が続いていた宝塚歌劇は17日、約4カ月ぶりに兵庫・宝塚大劇場の花組公演で再開した。花組新トップ柚香光が、本拠地お披露目「はいからさんが通る」の初日を迎えた。

4カ月ぶりに戻ってきた夢の世界。前方の客席に人の姿はなく、ファンは格子状に着席し、最大収容半数以下の1274人。立ち見は最大7分の1にあたるわずか20人だった。フルオーケストラによる演奏もなく、音楽は録音。それでも、大きな拍手で、ファンともども再開を喜びあった。

再開にあたって、劇団は多様な対策をとった。劇場への入り口は1カ所に絞り、検温機器を5台設置。マスク越しに体温を測り、消毒をして場内へ。ファンが集うロビーでの食事は禁止で、売店では飲み物や菓子類以外は販売を取りやめ、食事用のカウンターも撤去された。

その空いたスペースは、トイレ待ちの行列用に使われ、じゅうたんには、間隔を保った待機位置を示す「足元マーク」が並んだ。

また、生徒側への対策もとられた。稽古場、楽屋での密を避けるため、予備の部屋も空け、グループ分けして稽古。時にはリモートも使った。稽古も詰めに入ると、普段は使わない大劇場を使い、歌稽古には劇場ロビーも使用した。

開幕前に取材に応じていた小川友次理事長は「劇場も楽屋も稽古場もファンを回して空気の活性化、吹きつけの消毒もウイルスの不活性化処置も、全稽古場やトイレにいたるまで、最善を尽くした」と明かした。

同時に「ほんとにファンの皆さん、生徒のみんな、感謝の気持ちでいっぱい。生徒が気持ちも折れず、リモートで稽古に励んでくれた」と感謝。今後は稽古で宝塚バウホールを使用することも考えているという。

「なかなか全国からお客様も来られない。(観劇できる)人数も少ない。ですので、初めてライブ配信をやっていく。東京へ行けないとか、全国ツアーも中止しましたし、少しでも(観劇の)間口を広げたい」

本拠地作以外の公演でも全公演でライブ配信を予定。「全開とは言わなくても、黄色信号で渡っていく中で最善を尽くしていく」と話していた。