シンガー・ソングライターの林部智史(32)が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、2年半ぶりとなるセカンドアルバム「2」(=セカンド)をPRした。29日に発売される新アルバムには、阿木燿子作詞、来生たかお作曲のシングル「恋衣」など13曲が収録されている。

16年にシングル「あいたい」でデビューすると、「泣ける歌声」として話題に。15万枚を売り上げ、同年のレコード大賞と有線大賞で新人賞をW受賞した。18年にファーストアルバムをリリースしてからは、叙情歌やカバー作品を世に送り出して来たが、ファンからオリジナルアルバムを待望されていた。「ようやくお届けできることになりました」と話すように、当初の3月リリース予定が新型コロナウイルスの影響で7月までずれ込んだ。ツアーも延期となり、思うように音楽活動ができない中、自粛生活では作詞作曲活動に没頭したという。「何でも歌につながると思って、自宅での映画鑑賞や読書も欠かさなかった」。

ようやくリリースされた新アルバムのリード曲『夢』は当初リストになかった作品だという。「自粛期間中に、今だからこそ伝えたい曲だと思いました」と話すように、自身が作詞した『人は夢見やぶれ新たな夢を見る』と繰り返されるフレーズが印象的で、聞く者の心に寄り添うような癒やしのバラードだ。

またライブで披露され、少しずつ進化していった楽曲『やさしいサヨナラ』など林部作のオリジナル曲や作詞に関わった楽曲は9曲にのぼる。『僕はここにいる2』は、「今の等身大の自分を作品に表現した」と話す。「ファンの方から『いつまでも、そのままでいて下さい』とメッセージをいただくのですが、大切なところは変わらずに、でも変わることも恐れずに進化したい」と、さらなる成長へ強い決意を込めた。

林部は、言葉の1つ1つを丁寧に歌い上げることに定評があるが、例えば阿木燿子の詞など「ボキャブラリーが豊富で、言葉の選択に品があって、とても勉強になります」と貪欲に学び、才能を磨くことをやめない。このアルバムでは、他に池田綾子、川村結花、坂詰美紗子、追川礼章、山本加津彦、やまだ麻美と多彩な作家陣が楽曲を提供し、林部の美しいボーカルの魅力を引き出している。

ツアーもコロナ禍の影響で来年1月以降に延期された。「そこも状況が見えない」と話すが、今回、DVD付属版には昨春3月に東京サントリーホールで、60人超の東京フィルハーモニー交響楽団と共演した3周年コンサートを完全収録した映像特典がある。チケット即完売となった貴重なライブを自宅で楽しめるという。

「ファーストアルバムのときは、ただ自分の曲をお届けしたいという気持ちだけが強かった。今回のセカンドアルバムでは、聞いていただいた方に伝えたい思いがあります」。2年半の間に起きた変化を、いま林部自身も強く感じているようだ。