伊藤沙莉(26)が主演し、19年の第32回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門に出品された映画「タイトル、拒絶」(山田佳奈監督)の公開日が11月13日に決まった。

「タイトル、拒絶」は、それぞれが抱える事情に抗いながらも、力強く生きようと進むセックスワーカーの女たちの姿を描いた作品で、13年に山田監督自身が初演した同名舞台の映画化で&長編初監督作品。伊藤は、体験入店で店に来たものの、いざ行為の段階になっておじけづいてホテルの外に助けを求めて逃げ出した主人公・カノウを演じた。

伊藤は今年、NHK総合の連ドラ「いいね! 光源氏くん」をはじめドラマ3本、映画も7月に「劇場」「ステップ」と2本が公開。1月にNHKで放送されたアニメ「映像研には手を出すな!」でも主演し、放送文化の向上に貢献した番組や個人・団体を表彰する「第57回ギャラクシー賞」(放送批評懇談会)でも個人賞を受賞と今、最も旬の女優だ。

その伊藤が「誰にも渡したくなかった」と話すほど意欲的に臨んだ役が「タイトル、拒絶」のカノウだ。予告編でも、カノウが「ワタシの人生なんてクソみたいなもんだと思うんですよね」と真正面切って語るシーンが採用された。伊藤は「タイトル、拒絶」が出品された東京国際映画祭で、輝きを放った若手俳優に贈られる東京ジェムストーン賞も受賞している。

伊藤は「昨年、第32回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門での正式出品以来、ようやく再び作品を沢山の方々に見ていただける機会が巡ってきました。必死に、もがきながら、なんとか生きているという点では、今こういう時代だからこそ、より多くの方々に見ていただきたいなと思います」と公開日決定を喜んだ。

山田監督も「とても思い入れのある作品がついに公開という運びとなりました。去年の冬に撮影をしたのがウソのように状況も大きく変化し、映画の可能性を自分自身考える日々が続きましたが、私に出来ることは人の生活における不安ややるせなさに、そっと手を添えることではないかと思っています。出演者、スタッフ、すべての人が全力でクリエーティブに関わってくださった作品が公開になること、本当に誇らしく思います。セックスワーカーの彼女たちを通して、見てくださった方々が力強く踏み出せますように。そう願っております」とコメントした。

伊藤のほか、クセの強いデリヘル嬢役を恒松祐里、佐津川愛美、森田想、円井わん、行平あい佳、野崎智子、大川原歩、片岡礼子ら個性豊かな女優陣が演じる。モトーラ世理奈、池田大、田中俊介、般若、でんでんらも出演。プロデューサーは、伊藤が主演した17年「獣道」の内田英治監督らが務めた。東京・新宿シネマカリテほか全国で順次ロードショーする。