吉永小百合(75)が、122本目の映画「いのちの停車場」(成島出監督、21年公開)で初めて医師を演じることが6日、分かった。

吉永演じる大学病院の救命救急医・白石咲和子が、とある事情から石川県の実家へ戻って働き始める「まほろば診療所」の院長・仙川徹を西田敏行(72)が演じる。また、咲和子を温かく迎える元美術教師の父親・白石達郎を、ダンサーで俳優の田中泯(75)が演じる。田中は、吉永とは初共演。

西田と田中、そして原作の小説を書いた、現役医師で作家の南杏子氏がコメントを発表した。

西田 憧れの吉永小百合さんを座長に頂き、「いのちの停車場」という作品に参加出来ることで、齢72の私は、喜びと緊張で生きる力が、みなぎって参りました。この「いのちの停車場」の持つテーマと哲学を皆さんに投げ掛け、生きる事、死ぬ事への思いを巡らせて頂けたら、幸甚です。誰も避けては通れない死とは!?

田中 私は二人居ない。そしてたった一度の人生を生きている。「その人」も唯一無二の人生を生きる人だ。台本の中の「その人」に僕は震えた。言葉で書き上げられた台本をこんなにうらめしく思ったことはない。「その人」となって僕が映画の中に居る? 居たい! 僕の全身は本当を見つけられるのか、不安だ。が、絶対に「その人」をそこに居させてみせる。

南氏 映画化のお話をいただいた時は夢かと思いました。原作者としてこれ以上の幸せはありません。多くの方々の力で小説が三次元に立ち上がり、新鮮な命が吹き込まれるのを楽しみにしています。吉永小百合さんに主役を演じていただけるのは本当に感激です。ベテラン女医ブームが来る--と確信しています。

また、脚本は吉永が主演した「母べえ」(07年)、「おとうと」(10年)、「母と暮せば」(15年)をはじめ、山田洋次監督の作品のほとんどに助監督として関わり、共同脚本を務めてきた平松恵美子氏が担当する。平松氏は「家族はつらいよ」シリーズも含め、日本アカデミー賞優秀脚本賞を9度受賞しており、「ひまわりと子犬の7日間」(12年)では初監督を務めたが、いずれも松竹の作品で、東映の映画で脚本を担当するのは異例だ。幾度も組んできた吉永との“タッグ”で、東映という新たなフィールドで“化学反応”が生まれるかにも注目だ。