今年11月にデビュー20周年を迎える歌手中島美嘉(37)がこのほど、日刊スポーツなどの取材に応じた。前個人事務所の社長の死去に伴い、今年4月1日付でアワーソングスに移籍。コロナ禍でアウトプットの活動ができない中、アルバム制作に没頭。10月7日に3年半ぶりのオリジナルアルバム「JOKER」を発売し、20周年イヤーに突入する。

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18歳の時に連続ドラマのヒロインに抜てきされ、その主題歌が60万枚超の大ヒット。翌年にリリースした初アルバムはミリオンセラー。デビュー1年でNHK紅白歌合戦出場も果たし、いきなりスターダムにのし上がった。周囲にこびないクールな雰囲気を感じさせていた中島も、20周年を迎え、妖艶なオーラを醸し出すようになった。

20周年に向けては「気持ちの整理をしたかった」というが、何が印象に残っているのかと聞くと、ずっと走り続けてきたからなのだろうが、即答の言葉はなかった。それでも、記者が「MC力はかなり上達したのでは?」と続けると笑顔をみせた。

「うまくなったというんですかね。MCが苦手だったので、ファンの方が質問してくれるようになりました。だから、会話している感じですね。会話になって、そこから、うまくいくようになりました」。ファンに支えられてきた20周年でもある。

「あがり症はいっさい変わっていませんね。ますますひどくなっているかも」とも話すが、20年の重みは感じている。「アーティスト仲間の先輩とか後輩は気にしないのですが、スタッフとか、ボイトレの先生とかに年下が増えました」と笑った。

歌手を夢見て、何度もオーディションを受験するが落ち続けた。これで最後にしようとレコード会社に送った1本のデモテープをきっかけに道が開けた。「デビューしても練習を重ねながらでした。毎日毎日がオーディションで、迷いながらやってきたのがずっと続いています。どれが正解かが今もわかりません」。

それでも、確実にキャリアを積んできた。今作の「JOKER」では「声の変化というか曲調の変化が一番つまった作品」だという。歌い続けるうちに、声質の変化を意識するようになった。きっかけは数年前のプレミアムライブ。ピアノとベースだけのライブで「同じ歌声ばかりでは観客の方が飽きてしまうのではないか」と思ったからだ。明るい曲調では明るい声で、暗い曲では沈んだ声を。「曲で演じ分けることが楽しくなってきました」。

コロナ禍では、食事とダイエットに熱量を注いだという。もともとスレンダーな体形だが「もっとギュッとしたい」と、さらに絞り込んだ。自分を追い込むタイプなのだろう。「まだまだ(脂肪を)落としたいと思います。ゆっくりとやっています。声の出方も変わってきたと思います」。

歌手と並行して女優業にも力を注いできた。ただ、歌手としてスポットライトをあびてきただけに、芝居の現場では「お邪魔します」の感覚だった。クールな役柄も多く「自分で消化できないことが多かったです」。昨年、ネットフリックスのドラマ「Followers」に出演し、演技を楽しめるようになったという。「とことん楽しめる役柄だったこともあり、自由にやってくださいと言われて、とても楽しかった。それから、自分も変わってきたような気がします」。

11月からは20周年イヤーに突入する。「(コロナ禍の)こういう状況は分かるのですが、やはりできることならライブをやりたいですね。中国のファンの方も応援してくださるので、中国も細かくまわり、会いにいきたいです。(ツアーに)もし周年がつくなら、これまでの全シングルを歌うステージもいいですね」。ステージでのファンとの対面を待ち望んでいる。【竹村章】

○…「JOKER」は前作「TOUGH」以来3年半ぶりのオリジナルアルバム。リード曲「ノクターン」のほか「GLAMOROUS SKY」以来となるHYDEとのコラボ曲「KISS OF DEATH」など全14曲を収録。「昨年から時間をかけてとってきました。(コロナ禍で)スタジオが使えなかったり変更を余儀なくされ、心のキープが難しかったですが、迷いながらやってきた作品です」。

◆中島美嘉(なかしま・みか)1983年(昭58)2月19日、鹿児島県生まれ。01年、フジテレビ系連ドラ「傷だらけのラブソング」のヒロインに抜てきされ、同番組の主題歌「STARS」でデビュー。02年、初アルバム「TRUE」が発売3週間を待たずにミリオン突破。日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞し、NHK紅白歌合戦に初出場。女優としては、02年日本テレビ系「私立探偵濱マイク」、TBS系「うぬぼれ刑事」などの連ドラに出演。映画は「NANA」や「バイオハザード4 アフターライフ」など。160センチ、血液型B。