今日21日にデビュー丸35年を迎えた米米CLUBが来年1月6日に新曲「愛を米(こめ)て」を発売、井上真央(33)主演の映画「大(だい)コメ騒動」(本木克英監督、来年1月8日公開)の主題歌となることが20日、明らかになった。

カールスモーキー石井(61)とリーダーのBON(60)に映画、音楽、そして35年の歩みへの思いを聞いてみた。

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1918年(大7)に富山の漁師町の主婦たちが起こした「米騒動」を描いた「大コメ騒動」。試写を見たカールスモーキーは「大正の時代感を出すのが難しいだろうなと思った。僕も茨城の漁港で育ったから、貧富の差や口利きのオババがいるところとか、自分の故郷の昔を見ているような感じでした。いろいろな汚い事も描いて、人間のおろかさや強さは、時代が違っても変わらないと感じさせてくれる。いい映画だなと思いました。物語の展開や方言の難しさも、要所に出てくるストリーテリング(ナレーション)で分かりやすくなってますね」と振り返った。

主題歌の「愛を米て」は甘くムーディーなカールスモーキーの歌声が響く。サビも力強いが、歌詞カードを見ると「愛を米て」「力米て」と「米」という文字が続く。BONも「もういいよっていうくらい『米』。こんなのは『KOME KOME WAR』(88年)以来」と笑った。

米米CLUBは、82年にカールスモーキー、BON、ジェームス小野田(60)ら芸術系の専門学校の仲間で結成。今からちょうど35年前の85年10月21日に「I・CAN・BE」でレコードデビューした。88年「KOME KOME WAR」、89年「FUNK FUJIYAMA」でスマッシュヒット。90年に「浪漫飛行」で100万枚超、92年の「君がいるだけで」は300万枚近いメガヒットとなった。カールスモーキーは「ホントにダサい名前だったわけですよ(笑い)。『ヨネヨネクラブ』とか『マイマイクラブ』とか言われて、売れないと思われてた。まぁ、コミックバンドなんですけどね」と振り返る。

だが、友達同士の遊びで始まったバンドがビッグビジネスになり、行き詰まりを迎えて97年3月の東京ドーム公演を最後に解散した。カールスモーキーは「あの当時は、同じような事をやっていくんだったら、惜しまれながら解散しようと。バンドにずっとこだわっているより、離れることで良さが分かるかなと思った」。BONは「てっぺいちゃん(カールスモーキー)とは、腹を割ってすごく話し合った。『今、バンドはしんどい』という思いを受け止めて、またやりたくなったらやろうと。本当に10代の頃からのつき合いだからね」と振り返る。

06年4月、同年10月までの期間限定で米米CLUBは復活した。BONは「うれしかった。久しぶり~っていう感じ」。カールスモーキーは「ソロで活動して、すごく勉強になった。解散してからの9年間は無駄じゃなかったと思う。またゼロになってやって見て、米米CLUBのパワーを感じた。でも、また、ずっとやっていくことは考えていなかった」。

だが、大阪のコンサートで赤ちゃんを抱いたファンが泣きながら歌っている姿が心を揺さぶった。カールスモーキーは「『Shake Hip!』をやっている時だった。あれを見たら、ソロ活動に戻るなんて言えなくなった。そこまで好きになってくれるんなら『もうやめないから』って。ずーっと、みんなが死ぬまで米米CLUBだから、米米CLUBは不滅だからって。『米(八十八)』っていう字はすごいんだなって(笑い)。八十八ってすごい、それが2つ付いてる“長寿バンド”」。BONは「それが、カッコイイことなのかは分からないんだけどね」と笑う。期間限定ではなく、活動を継続することに決めた。

カールスモーキーは「僕たちは、みんな音楽性が違うから、音楽の話ってほとんどしない。だから、わりと許容範囲が広い。アートというくくりでは音楽も絵も彫刻も建築も同じ。みんなが広い考え方を持っているから、長くやってこれたんでしょうね」。

9年の空白があっても35周年。メンバーたちは60歳の還暦を迎えているが、88歳の米寿までは、まだまだ遠い。昭和、平成、令和を駆け抜けた旅は、まだまだ続く。

◆映画「大(だい)コメ騒動」 1918年(大7)8月。富山の海岸に住む女房たちは、上がり続ける米の値段に悩んでいた。困った松浦いと(井上真央)たちは、近くの米屋に安く売ってくれと嘆願に行くが失敗。リーダーのおばば(室井滋)は逮捕されてしまう。そして、女房たちはついに行動に出る。他に夏木マリ、立川志の輔、左時枝、柴田理恵ら。

◆米米CLUB(こめこめくらぶ) 1982年(昭57)にカールスモーキー石井、BONら専門学校の友人が結成。85年10月21日にデビュー。97年3月に解散も、06年4月に再結成。メンバーは他に、ジェームス小野田、フラッシュ金子、BE、ジョプリン得能、RYO-J、MARI、MINAKO。