菅野美穂(43)が来年春公開の映画「明日の食卓」(瀬々敬久監督)で、11年「ジーン・ワルツ」以来、約10年ぶりに映画主演することが9日分かった。高畑充希(28)、尾野真千子(39)と3人が「石橋ユウ」という同名の10歳の息子を持つ母親を演じる。菅野は「私自身が育児中ということもあり運命を感じる役との出会いでした」と語った。

「明日の食卓」は、椰月美智子氏の同名小説の実写化作品。菅野は神奈川在住で悠宇ら2人の息子を育てるフリーライター、高畑は大阪在住でアルバイトしながら勇を育てるシングルマザー、尾野は静岡在住で優を育てる専業主婦を演じる。3つの「石橋家」が交錯し、明るく幸せな生活が思いも寄らぬ方向へ向かう。「息子を殺したのは、私ですか-?」とのキャッチコピーも躍る社会派作品だ。

菅野自身、5歳の長男と2歳の長女の母親で「演じながら、子どもへの愛情と母性の狂気を改めて見つめ直すような気持ちになりました」という。初タッグの瀬々監督のもと「毎日抜け殻になるまで撮影をした気がします」と振り返った。

初のシングルマザー役に挑んだ高畑は「とてつもなくパワフルな現場で、あれよあれよという間に時間が過ぎてゆきました。1日の密度があまりに濃すぎて撮影期間の記憶がほとんどありません」。尾野は「母を演じることはやはり難しい。母子の気持ち、いくら考えても年を取っても経験者当事者でないと分かりません。演じて怖くもありました。でもつながりとは美しい大切なものですね」と語った。

○…瀬々監督は菅野の演技を「子育て中の経験を生かしてチャーミングなお母さんを演じてくれました。ラストは一線を越えた迫力」と絶賛した。映画は8月18日にクランクイン。茨城、千葉、埼玉、都内近郊で撮影して9月7日にクランクアップした。高畑と尾野も瀬々監督作への出演は初めて。