人気俳優への登竜門「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で今年のグランプリを受賞した北海道函館市出身の中学3年生、前川佑さん(14)が将来の夢を語った。1万7178人の中から道産子4人目のグランプリに輝き、来春には俳優を目指して東京都内の高校に進学予定。「何でもチャレンジしたい」と語る14歳に、現在の心境や将来の目標を聞いた。
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179センチのスラッとしたスタイルに、笑うとえくぼが出る爽やかなルックス。14歳の前川さんが憧れの世界に飛び込む。「だんだん実感が湧いてきた」。先月22日に行われた「第33回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で、応募総数1万7178人の中からグランプリに輝き、夢の入り口に立った。
前川さん ドラマや映画に出てみたい。ミュージカルもバラエティーもやりたい。知らないことに挑戦するのが好きなんです。
89年のグランプリで道産子の武田真治と同世代の母の勧めで挑戦したコンテストでは、受賞後に「自信があった」と語る度胸にも注目が集まった。「楽しかった」と大舞台でも落ち着き払った振る舞いは、06年グランプリでゲスト審査員の俳優溝端淳平(31)から「大物になると思う」と評された。しっかりとした夢への道筋を描く言葉にも、その一端がにじみ出る。
前川さん 今はまだジュノンボーイグランプリの前川佑。高校卒業後には俳優前川佑として見られるようになっていたい。
石狩管内の小学校高学年のときに「芸能界っていいな」と抱き始めた芸能への憧れ。昨夏に米ミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」を見て目標に変わった。「自分も演技がしたい」。同作にも出演した06年「ハイスクール・ミュージカル」主演の米俳優ザック・エフロン(33)の演技にとりこになった。だから「歌って踊れるのが一番の理想」。描く俳優像も確かだ。今春受けた東京の芸能事務所のオーディションは落選したが、志は揺らがなかった。
函館で育ち、現在は石狩管内の中学校に通う。学校では生徒会の放送委員長として昼食時間の“DJ”を務める。「笑わせたい」とバラエティー番組のMCを見て勉強する。今回のコンテストの最終選考会ではダンスロックバンドDISH//の「猫」を弾き語った。同曲を提供したシンガー・ソングライターあいみょん(25)が作詞の際に映画「君の膵臓を食べたい」から着想を得たと知ると、すぐに映画を見た。研究肌の姿勢が「自信」を引き出している。
将来的には同コンテスト出身の菅田将暉のように音楽活動にも興味はあるが、まずは役者として名前を知られることがスタートだ。来春には都内の高校に進む予定だ。「(家庭用ゲーム機)プレイステーション5だけは買いたい」と話すが、コンテストの賞金50万円の使い道もはっきりしている。
前川さん これからの夢への資金にしたい。家族や友だち、先生にも祝福された。結果で恩返ししたい。
活躍することが感謝を示す一番の手段だと知っている。【取材・浅水友輝】
<前川佑(まえかわ・たすく)アラカルト>
▼生年月日 2005年(平17)12月28日
▼出身 函館市。「10月に修学旅行で行って。めっちゃ楽しめました。五稜郭タワーは高くて怖かった」
▼サイズ 179センチ、66キロ。「身長はまだ止まっていません」
▼血液型 A型
▼家族 両親と姉、兄、弟
▼スポーツ 幼稚園から小学2年までサッカー。その後、小学6年まで剣道。中学1年からサッカーを再開した
▼名前の由来 母に「人を助けられるようになって欲しいという願いと人に助けられることに感謝してほしい」とつけられた。母のおなかにいるときから祖母に「たすくん、たすくん」と呼ばれていた。
▼好きな音楽 ロックバンドUVERworldのファン。「歌を歌うのが好きで、10月の文化祭でも弾き語りをしました」
▼好きなドラマ 戸田恵梨香主演ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」。「めちゃくちゃ泣いた。学園系も好きで、将来はいつでも若々しくしていたい。いつでも学園ドラマに出られるよう」
▼出演したい番組 バラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」。「ロケに行ってみたい。過酷な環境でも大丈夫。楽しめる」
▼好きな食べ物 母の作るジャガイモ入りカレー
◆ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト 女性向け月刊誌「JUNON」(主婦と生活社)主催のコンテスト。88年に第1回が行われ、33回目の今年は12~22歳を対象に開催された。過去のグランプリには武田真治ら4人の北海道出身のほか、91年袴田吉彦、93年柏原崇、01年小池徹平、06年溝端淳平らがいる。準グランプリは90年原田龍二、93年伊藤英明ら。ファイナル進出者では07年三浦翔平、08年菅田将暉ら。出身者から日本を代表する俳優を数多く輩出している。